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プレスリリース

腸内常在菌が産生する物質の全貌を明らかに
― 世界初、腸内環境と健康・疾病の関連性の解明に新たな突破口 ―

2012年01月15日
研究発表

協同乳業、理化学研究所、東海大学医学部、HMT社の共同研究

研究開発型バイオベンチャーのヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社※1(本社・山形県鶴岡市、代表取締役社長・菅野 隆二、以下HMT)は、協同乳業株式会社※2(本社・東京都中央区、社長:山崎 直昭)松本光晴主任研究員らとの共同研究により、無菌マウスおよび通常菌叢マウスの大腸内の代謝物質を分析し、179成分を検出しました。解析の結果から、これまで腸管内に存在していることすら知られていなかった代謝物質が多数明らかになっただけでなく、腸内常在菌※3が産生する代謝物質が宿主の健康維持に影響を与えている可能性が示唆されました。

本研究は(独)農業・食品産業技術総合研究機構・生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出基礎的研究推進事業」の平成21年度課題「健康寿命伸長のための腸内ポリアミン濃度コントロール食品の開発」(研究代表者:松本光晴主任研究員)により行われ、英国ネイチャー(Nature)の姉妹誌である「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」で本日公開されました。

研究背景
腸内代謝物質の位置づけヒト大腸内には500-1,000種類、100兆個にも及ぶ腸内常在菌が棲息しており、生体の健康状態との関連は密接で、免疫系、大腸ガン、肥満、脳の発達、寿命などへの影響が報告されています。腸内常在菌が産生する代謝物質は、腸上皮細胞に吸収され血中に移行するため全身の細胞への影響が大きく、腸内常在菌自体の菌体成分より健康や疾病に強く関与していると推測できますが、これまでは短鎖脂肪酸やポリアミンなど、一部の活性の高い成分のみの研究にとどまり、100成分以上を網羅的に解析した報告はありませんでした(上図)。

そこで、広範囲の成分を分析することが可能なキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計 (CE-TOFMS※4)を用いて、無菌マウスと通常菌叢マウス※5の大腸内容物を分析・比較し、腸内常在菌が産生する代謝物質を網羅的に解析しました。

結果
クラスタリングマウスの大腸内容物からは179成分が検出されました。検出成分の個体ごとのパターン(階層型クラスタリング)を調べたところ(左図)、無菌マウス群と通常菌叢マウス群のパターンに明らかな差があることが認められ、腸内常在菌の有無が大腸内の代謝物質に多大な影響を与えることが確認されました。

例えば、酸化ストレスを受けていることを示す代謝物質(オフタルミン酸)は無菌マウスの大腸内容物からのみ検出され、炎症を抑制する作用のある代謝物質(プロスタグランジンE2)は通常菌叢マウスからのみ検出されました。さらに、健康維持に寄与すると言われている一級アミン(GABA、ポリアミンの一種であるプトレッシン等)はマウス自身ではなく腸内常在菌により産生されていることも明らかになりました。

また、腸内常在菌主要グループの菌数と各代謝物質濃度との相関性を調べたところ、腸内での構成比が高い菌種ではなく、構成比が比較的低い腸内常在菌の方が、代謝物質濃度の差に強く影響を与えている可能性が示唆されました。

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本研究成果は、腸内常在菌と健康に関する研究おいて、最も遅れていた代謝物質研究に焦点を当て網羅的に調べた初めての研究であり、医学、免疫学、生理学、薬学、栄養学、細菌学など幅広い分野に活用することができる基礎的データとなります。

今後は、プロバイオティクスの保健機能メカニズムを本アプローチにより解明し、「科学的根拠のある機能性食品」を開発することが重要な課題の一つであると考えています。

プロファイル
※1 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社について
 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT)は、CE-MS法の技術をもとに2003年7月に設立され、メタボロミクスのリーディングカンパニーです。主な事業内容はCE-TOF MSを利用したメタボローム受託解析で、メタボローム解析技術を用いたバイオマーカー探索のほか、医薬、機能性食品、発酵プロセスの最適化などの分野で実績を上げています。今後は環境、エネルギー、化学などの分野も視野に入れ、幅広い分野での貢献を目指しています。
http://humanmetabolome.com/

※2 協同乳業株式会社について
協同乳業株式会社は1953年に創業、「メイトー」ブランドで牛乳、ヨーグルト、プリン、アイスクリーム等の製造・販売を行っている総合乳業メーカーです。「ホームランバー」や「カスタードプリン」など数々のロングセラー商品を生みだしてきました。
最近では、ビフィズス菌「LKM512」によるマウスの寿命伸長効果を発表し、プロバイオティクスの新規機能の発見として新聞・TV等で大きくとりあげられ話題になりました。また、今まで未知の領域だった腸内常在菌の代謝産物、特にポリアミンに焦点をあて、腸内環境と健康・疾病の関連性の解明を目指し、独自の切り口で研究を進めています。
http://www.lkm512.com/

※3 腸内常在菌
ヒトの大腸内には1,000種類の腸内細菌が存在しており、一人あたり100種類以上、100兆個が棲息しています。健康への影響が非常に大きく、腸の疾病以外にも、免疫系の疾患、肥満や寿命にも関与していることが明らかになり、近年研究が盛んに行われています。

※4 CE-TOFMS
キャピラリー電気泳動(Capillary Electrophoresis; CE)と飛行時間型質量分析計(Time-of-Flight Mass Spectrometer; TOFMS)を組み合わせた分析装置であるCE-TOFMSは、高分離能と高分解能、高感度を併せ持ち、イオン性化合物の分析に威力を発揮します。細胞内の代謝物はほとんどがイオン性化合物であるため、生命科学研究に適しています。1つの細胞には数千種類もの代謝物質が存在するため、その解析の効率化は大きな課題となっており、CE-TOFMSには、迅速な代謝物質測定実現の期待が寄せられています。

※5 通常菌叢マウス
マウスを無菌環境で生育させ、4週目に通常環境で飼育しているマウスの糞便懸濁液を経口投与し、通常菌叢を定着させたマウス。無菌マウスと比較することで腸内常在菌の影響を直接的に調べることができます。

※このニュースについてのお問い合わせ
営業・マーケティング部 井元
TEL: 03-3551-2180

このニュースは下記のメディアで報道されました。
・山形新聞 2012年1月26日付26面
・河北新報 2012年1月27日付25面
・荘内日報2012年1月27日付7面
朝日新聞2012年1月31日付
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