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メタボロミクスインサイト

emPAI Calc-大規模LC-MS/MSデータからのプロテオームの定量

2010年03月12日
情報科学分野

プロテオーム分野の定量分析では、安定同位体アミノ酸を用いてタンパク質をラベルし、同位体の分だけ質量(m/z)がずれたピークの面積を比較する方法が主流です。培養細胞や微生物ならば安定同位体ラベルが簡単ですが、臨床検体は簡単にラベルすることができず、プロテオームの定量的比較は困難でした。

しかし、プロテオーム解析において、同定されるペプチドの数が由来のタンパク質量と比例することが分かり、技術は飛躍的に発展しました。タンパク質の同定ステップで得られるペプチド数の情報から、タンパク質量を推定できるので、現在は同位体ラベルなしでも定量解析ができます。

この「ノン-ラベル」の定量解析には、大きく分けて2つの流派があります。スクリプス研究所のグループが開発したスペクトラル・カウンティング(SC)法と慶應義塾大学の石濱准教授らが開発したemPAI法です。

本研究の筆頭著者は当社研究員の篠田です。emPAI Calcは、これから実験するプロテオームデータのみならず、これまで同定データしか得ていなかったプロテオーム・データにも定量値を追加することができます。

概要

emPAI法は、ダイナミック・レンジが広い一方で、正確な定量値を出すためにペプチドの移動時間を予測してフィルタリングするなど、ウェットな生物学者にとって手順が煩雑である。そこで本論文では、インフォマティクスに不慣れなウェット研究者でも使える、emPAI 計算ソフト (emPAI Calc)の開発を行った。

emPAI Calcは計算ステップをすべて自動化している。ユーザーはMascotやCSVなど、汎用形式のプロテオームデータを指定するだけで、即座にemPAI値を得ることができる。

emPAI Calc–for the estimation of protein abundance from large-scale identification data by liquid chromatography-tandem mass spectrometry.
Shinoda K, Tomita M, Ishihama Y. Bioinformatics., 26(4):576-7 , 2010

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