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メタボロミクスインサイト

CE-TOF MSによる大腸がんおよび胃がんの微小環境の定量的メタボローム プロファイリング

2009年05月27日
医学分野
CE-MSのメタボロミクスが、臨床サンプルからも重要な知見をもたらすことが示されました。Cancer Researchは、以前から先駆的な「オミクス」研究を受け入れるジャーナルでしたが、今後より保守的なジャーナルにも波及していく素地となると思われます。

ワールブルグ効果は1930年代に提唱されましたが、網羅的な代謝物質測定が2000年代にやっと実現可能となり、70年の時を超えて、がんのサンプルで実際に検証されることは、感慨深く、またワールブルグ博士の先見性にも感服します。
概要
ほとんどのがん細胞は、十分に酸素がある場合でも、TCA回路よりも解糖系を使ってエネルギーを作り出す(ワールブルグ効果)。しかし、これまでにその臨床データはほとんど示されていない。平山らはCE-TOFMSを用いてがん患者の腫瘍と正常組織(大腸16検体、胃12検体)のメタボローム解析(大腸94代謝物質、胃95代謝物質)を行い、がんに特異的な代謝物の変動があったことを示している。

大腸がん・胃がんどちらも非常にグルコースが少なく、乳酸と解糖系中間体が多く検出された。これは解糖系が活発に活動していることを示し、ワールブルグ効果を裏付けるものである。グルタミンを除くアミノ酸の蓄積も見られ、これはグルタミノリシス(免疫細胞や腸管に特異的なグルタミン代謝)のように、エネルギーを作るためにタンパク質やグルタミンが分解されていることを示唆している。

実際の腫瘍は予想以上に飢餓状態であり、またCE-TOFMSががんの特効薬開発において強力なツールになりうると結論付けている。


Quantitative Metabolome Profiling of Colon and Stomach Cancer Microenvironment by Capillary Electrophoresis Time-of-Flight Mass Spectrometry.
Hirayama A, Kami K, Sugimoto M, Sugawara M, Toki N, Onozuka H, Kinoshita T, Saito N, Ochiai A, Tomita M, Esumi H, Soga T. Cancer Res., 69(11):4918-25, 2009
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