食品機能性研究におけるメタボロミクスの有用性

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表現型に最も近い代謝の解析は、周囲の環境などによって変化する生体の「現在」の状態をよりよく表すと言われています。特に食品機能性研究においては、食品そのものや食品が生体に与える影響など様々な用途でメタボロミクスが利用されるようになってきました。

本セミナーでは食品機能性研究にメタボロミクスを採り入れられている先生方をお招きし、最新のメタボローム研究例をご紹介いただきます。

日程・場所

場所 日時 定員
品川(東京) 10月10日(金)
13:40~16:20(受付開始13:20~)
54名

開催概要

参加費
無料(あらかじめ参加申込みをお願いします)
主催
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
お問い合わせ
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
営業・マーケティング部 井元淳
☎ 03-3551-2180

プログラム

13:40~13:45 ごあいさつ
13:45~14:30 腸内細菌研究へのメタボロミクスの応用

協同乳業株式会社 主任研究員 松本光晴先生

14:30~15:15 食品分野におけるメタロボミクスの導入と活用

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
東條繁郎

15:15~15:35 コーヒーブレイク
15:35~16:20 マルチオミクスによる食品の機能性解析

~メタボローム解析を中心として~

東京大学総括プロジェクト機構 総括寄付講座「食と生命」
特任教授 加藤 久典先生

プログラムは予告なく変更することがあります。変更した場合は当ウェブサイトおよびご登録いただいたアドレスまでご連絡いたします。

会場

日時
10月10日(金)13:40-16:20 (受付開始13:20~)
会場
AP品川 10階 B+Cルーム
住所
〒108-0074 東京都港区高輪3-25-23 京急第2ビル
アクセス
JR・京急 品川駅高輪口徒歩約3分
AP品川 アクセスマップ

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定員
54名

 

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講演要旨

腸内環境研究へのメタボロームの利用

松本光晴

協同乳業株式会社 研究所 技術開発グループ
機能性食品の開発やメカニズム解明に腸内環境の研究は必要不可欠である。腸内菌叢の研究は、培養法から16SrRNA遺伝子を用いた系統分類学的解析に移行し、その構造的複雑性(難培養性細菌の存在と個体差)が明確になり、結果解釈をより困難な状況にしている。一方で、メタゲノム解析は、遺伝子情報の組成や機能を解析することが可能になり腸内常在菌の役割解明に大きく貢献しているが、全ゲノム情報が得られない難培養性細菌の存在を含めた解釈は不可能で課題は多い。これらの背景より、演者らは健康と腸内環境の関連性を研究する場合、腸内細菌の代謝産物の方が菌種構成より直接的で重要であると考え、代謝産物に着目し研究を進めてきた。

2010年時点で、腸内環境をターゲットとしたメタボロミクス解析は、NMR、GC-MSおよびLC-MSを用いた研究は幾つか存在していたが、一部の代謝産物に焦点を当てた内容であり、全貌解明という視点からは不十分であった。また、これらの報告は菌体も破壊した抽出物を用いており、腸管内に存在し遊離している代謝産物とは言えないものであった。そこで演者らは、CE-TOFMSを用いて、同腹マウスから無菌(GF)マウスと通常菌叢定着(Ex-GF)マウスを作製し、水溶性・イオン性の低分子代謝産物を広範囲に調べた。結腸内容物より179 成分が検出され、その内約120成分が腸内細菌の影響を受けていることが明らかになった。また、上記GFマウスおよびEx-GFマウスの大脳皮質および血液もCE-TOFMSメタボロミクス解析し、腸内細菌が全身の低分子代謝物にも影響していることを確認した。

筆者らは腸内細菌が産生する生理活性物質ポリアミンを大腸内で増強させる食品の開発にもCE-TOFMSメタボロミクスを利用した。具体的には、統一食事を摂取したヒトの糞便を解析することで、腸管内に存在するポリアミン増強物質の探索を行ない、培養試験によるスクリーニングを経て、最終的にはマウス経口投与試験で生体内ポリアミン濃度を高めることに成功した。本発表では、ヒト糞便を用いたメタボロミクス解析の課題等、論文上には書かれることがない苦労話についても紹介する。

食品分野におけるメタロボミクスの導入と活用

東條繁郎

ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
当社は年間350件以上の解析試験を通じて、様々な研究分野におけるメタボロミクスの導入を支援してきました。近年では、生化学の基礎研究だけではなく、食品分野・品質管理など幅広い分野でメタロボミクスを利用した研究成果が発表されています。本講では、当社が提供するメタロボミクスの概要・性能の現状と共にいつかの事例を紹介し、ご意見をいただければと考えております。

前半は、導入方法を中心にどのような資料が測れるのか、どんな成分が対象なのか、どんな前処理をすればいいのか、どんな結果が出るのか等、試験前に直面する疑問についてお答えいたします。

後半は、当社で実施したメタボローム解析事例ほか、最新のフードメタボロミクスの研究例についてご紹介いたします。

マルチオミクスによる食品の機能性解析
~メタボローム解析を中心として~

加藤久典

東京大学総括プロジェクト機構 総括寄付講座「食と生命」
オミクスを基盤とした食品や栄養の科学であるニュートリゲノミクスにおいて、メタボロームの活用の幅も広がってきている。演者らはメタボロームとその他の様々なオミクスを組み合わせた栄養・食品研究を推進してきた。ラットやマウスの肝臓あるいは血漿のメタボローム解析の活用により、食品の機能性や安全性に関する有用な知見が得られた例を紹介する。

まず、高脂肪食摂取マウスにおいて、コーヒー摂取による抗肥満・抗糖尿病効果に関して検討した。肝臓における尿素回路の亢進などが予想され、これはトランスクリプトーム解析の結果とも整合性のあるものであり、またプロテオーム解析も合わせることでメカニズムをさらに深く探求することができた。その他メタボロミクスから得られた成果として、西洋型食摂取モデルマウスにおけるケルセチンの抗炎症作用のメカニズム、DSS誘導大腸炎モデルマウスにおけるパセリによる改善作用などの例を報告する。これらに関しても他のオミクスの結果との連携により作用メカニズムをより深く明らかにすることができている。食の安全性に関わるトピックとして、ひとつのアミノ酸だけを過剰に摂取した際の悪影響について、そのメカニズム等の解析にメタボロミクスを用いた。血中や肝臓中で毒性の指標となりうる候補代謝物を同定することができ、それらの変化も遺伝子発現レベルでの変化と一貫する結果であった。

 

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