データ解析のサポートサービスにおけるレポート項目について
階層的クラスタリング(HCA)
HCAは、それぞれの代謝物質のプロファイルの類似性を基準にグループ分けを行う(クラスタリング)多変量解析手法の一種です。 平均値より高値ほど濃赤、低値ほど濃緑で表示されます(ヒートマップ)。 HMTの受託分析報告書にはHCA結果が図示されますが、データ解析サポート報告書には研究員による結果の解説が記載されます。

部分最小二乗法(PLS)
PLSは、メタボロームデータの解析に汎用的に用いられる、試験群の分類情報を考慮した次元縮約を伴う多変量解析の一種です。 試験群の分類情報を考慮しない主成分分析(PCA)では群間差が不明瞭の場合に有効で因子負荷量から各軸に相関の高い物質群を簡便に抽出できます。
【部分最小二乗法(PLS)解析結果概要】
PLSの結果、PLS1軸方向に、0hおよび6h群、12hおよび18h群のサンプルが乖離していることから全体的には特に6hと12hの間に顕著な代謝のプロファイルの変化が生じたことが示唆された。一方、PLS2軸方向には、0hおよび6h、12hおよび18hのサンプルがそれぞれ乖離した。結果、PLS1軸およびPLS2軸のそれぞれに対応する因子負荷量を調べることで、各群に特徴的な物質群が抽出可能である。 PLS1軸に対する因子負荷量の数値より、12h移行ではNOSの阻害作用も知られるSDMA(Symmetric dimethylarginine)やN-Acetyl-β-alanineといったアミノ酸誘導体やGly-Glyなどのジペプチドが増加傾向を示す一方、Glucose 6-phosphateやSedoheptulose 7-phosphateなど解糖およびペントースリン酸回路(PPP)中間物質の低下が顕著であった。これは、絶食後6hから12h経過後の糖原不足による解糖系やPPPの不活性に伴い、栄養飢餓によるタンパク質分解の亢進などに起因する可能性がある。特に解糖系に関しては、他にもFructose 6-phosphateや3-Phosphoglyceric acidなどの中間物質もPLS1軸との負相関が高く絶食に伴う低下が示された。一方、PL2軸に対する・・・
ボルケーノプロット
ボルケーノプロットは、それぞれの代謝物質について試験群間の比をlog2変換し横軸に、t検定結果のp値をlog10変換し縦軸に示した散布図です。群間比較で顕著にかつ統計学的有意に高値または低値の代謝物質群をひと目で把握できます。 
パスウェイマップ読解
メタボロームデータは統計解析の結果だけ眺めてみても、そのメカニズムまで考察するのは容易ではありません。 HMTの受託メタボローム分析結果の標準的な報告書には、大量のデータを図示した複数の代謝パスウェイマップが含まれていますが、熟練のHMT研究員がこれらの代謝プロファイルを過去の文献や経験に基づき解読し的確な考察を加えます。
【中心炭素代謝の考察】
6hと12hデータを比較したところ、12hにて大部分の解糖、ペントースリン酸回路、TCA回路中間物質が低下した。また、12h移行ATPやADPも顕著に低下した。 このことから、飢餓ストレス負荷後、6h程度まではグリコーゲンなど残存糖の利用、糖新生などによる糖代謝が維持されつつも、12h以降は全体的に糖代謝活性が劇的に低下した可能性が示唆される。 一方、増加した物質は、NAcGlcNP,GlcNAcなどグルコサミン関連物質およびケトン体(3-HBA)などであった。長時間の飢餓による脂質分解(β酸化)の亢進による可能性などが考えられる。・・・
箱ひげ図
特に臨床検体のデータなどに関しては、各群の平均と標準偏差だけを示した棒グラフよりも、データの分布がひと目でわかる箱ひげ図(Box plot)が重宝されます。 納品されるExcelファイルには、Excelベースで作成された各物質の箱ひげ図が描画されており、フォントや色など自在に改変可能です。 論文投稿やスライドの作成に非常に便利です。 