«

»

先導助成

2017年度先導助成授与式を執り行いました


こんにちは、HMT永石恵美です。2018年がやってきました。今年もよろしくお願い致します。

少し時間が経ってしまいましたが2017年度の先導助成授与式のお話しをさせていただきます。

今年もたくさんの応募をいただきました。12月5日に日本橋ライフサイエンスビルで授与式を行いました。

 

2017年度の先導助成授与式について弊社取締役大橋由明より総評です。

「メタボロミクス先導研究助成は、これまで多くのご提案を頂き、インパクトの 高い論文発表や特許出願がなされてきました。

例年は大学院の学生さんのみを対 象にしていましたが、今年からポスドク研究者や任期付の教員の方も対象とさせ て頂きました。

それに伴いチャレンジングなご提案が多くなり、非常にレベルの 高い選考を求められました。

研究分野も幅広くなっておりますが、今回は精神疾 患、薬剤の効果、基礎代謝を対象にした研究提案が採択されました。」

 

2017年度の採択課題については「2017年度HMTメタボロミクス先導研究助成 採択研究課題を発表しました」をご覧ください。

授与式では採択者のみなさまに一言ずつコメントをいただきました。

 

小川 優子さん

国立循環器病研究センター、再生医療部の小川と申します。この度は2017年度のHMTメタボロミクス先導研究助成にご採択頂きまして、誠にありがとうございました。

私が所属する研究チームでは、ADHD(注意欠如・多動性障害)に関する研究を行なっています。ADHDを始めとする発達障害は、社会的にも非常に問題になっている分野ではありますが、適切なモデル動物がいないことから、病態に対する理解が進まず、治療方法も確立されていません。そこで私達は、胎児期にDSC_0116おける母体の血流量に注目した、新規のADHDモデルラットを開発しました。このモデルは、行動観察や組織評価の結果から、臨床症状に即したモデルであることが分かっています。今回私達は、このADHDモデルラットについてメタボローム解析を行い、ADHDの脳代謝について検討したいと考えています。

私たちの研究成果が、ADHDの病態理解に繋がることを期待しています。よろしくお願い致します。

 

 

遠山 周吾さん

慶應義塾大学医学部循環器内科の遠山周吾と申します。

この度はHMTメタボロミクス先導助成にご採択頂き、誠にありがとうございました。大変素晴らしいご支援をいただけることに心より感謝申し上げます。

私達の研究室では『ヒトiPS細胞を用いた心臓再生医療』に関する研究を行っており、私は2009年頃から代謝の研究を始めました。なぜ再生医療と代謝の研究が関係するのかに関しまして簡単にご説明させていただきます。

ヒトiPS細胞から心筋細胞へ分化誘導した際に、現在の技術では心筋細胞だけに分化誘導することができず、30%程度心筋以外の細胞が混ざってしまいます。そして、それらの心筋以外の細胞を移植した際に腫瘍化(がん化)してしまうことが明らかとなっており、心筋以外の細胞を取り除くことが安全な再生医療を行うために最も重要なステップであると考えています。私達はそのステップに培養(代謝)環境を利用できないかと考えました。つまり、心筋細胞だけが生存できる培養環境が作れないかということになります。そしてその成果が実り、現在では培養液を用いてヒトiPS細胞由来の心筋細胞(主に心室筋細胞)だけを選別することができるようになりました。次に、私は作製したヒトiPS細胞由来の心筋細胞の代謝解析を行いたいと思っていましたが、メタボローム解析に必要な質と量の心筋細胞を安定して確保することが困難であったため、断念しておりました。しかし、最近これらの課題を克服することができたため、本助成に応募させていただいた次第です。DSC_0120

私は以前より心臓再生医療の実現化における代謝解析の重要性を強く感じているわけですが、御社にサポートいただきながら現在の代謝研究をさらに発展させ、代謝解析による成果のお蔭で心臓再生医療を実現化することができ、患者さんに還元することができたと言えるよう、日々精進して参りたいと思います。

この度は誠にありがとうございました。

 

関根 舞さん

東京大学大学院農学生命科学研究科の関根舞と申します。
この度は素晴らしい賞にご採択いただきまして,ありがとうございました。

DSC_0124 (1)我々はプリン代謝に関わる薬剤が神経変性疾患モデルマウスの発症と進行を遅延させた結果を得て,その機構を解明したいと考えています。プリン代謝は複雑で広範囲の物質代謝に影響を与えるため,メタボローム解析が非常に有効な手法です。プリン代謝はヒトとその他の動物で異なることから,今回採択いただいた課題はヒトを対象としてプリン代謝変動の解析を行いたいと考えています。このような解析手法を用いさせていただけることを非常に嬉しく思っております。本助成を,研究成果として還元できるように頑張ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

お忙しいところご足労いただきありがとうございました。

みなさまの研究の発展が楽しみです。

DSC_0126

 

 

«

»

メタボロ太郎なう

Photos on flickr