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HMTからのお知らせ

日本成人病(生活習慣病)学会に参加してきました


みなさま、あけましておめでとうございます。HMTの大賀拓史です。

年が明けてからはや2週間。ブログはともかくですが、お仕事の方はサボっていたわけではございません。

先週末は、東京で行われた日本成人病(生活習慣病)学会に参加してきました。発表の内容は糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームから認知症まで、幅広い疾患が対象となっていました。最新の研究結果や診断基準についての報告、また過去の大規模コホートに関しての評価・コメントを聞くことができ、それぞれの疾患分野の現状を理解する上で良い参考になりました。


今回の学会では、生活習慣病と認知症の関係が注目されていました。特に降圧剤やスタチン (コレステロール降下剤) などが持つ認知症の抑制効果が、複数の先生方から指摘されていました。最近の大規模コホートからもスタチンによるアルツハイマー病の予防効果が報告されています(>>>ロイター通信記事)。これらの薬剤は今後、認知症の分野でも効果的療法の一つになる可能性を持っているのかもしれませんね。

個人的には、実際の疫学・臨床研究においてどのようなデータが得られるのか、あるいはどういった点が問題になるのか、について具体例を聞けたので、大いに勉強になりました。メタボロミクスに限ったことではありませんが、研究を行う上でどのようなサンプリングデザインを組むのか、は重要な課題です。できれば大規模に、また詳細なデータを揃えたいところですが、特にヒトを対象とした研究に関しては、理想的な研究デザイン通りには実施できません。私自身もこれまで、出来るだけ現実的な実験デザインを心がけていたつもりですが、果たしてそれは本当に可能な内容だったのか? 実際の医療現場で起こりうる問題点も考慮して、もう一度考え直す必要があると感じています。

ところで、シンポジウムでは患者さんに生活習慣の改善指導を行うことが如何に大変か、という報告がありました。「何とかしなければ」と分かっていても、なかなかそうは行かないのが人間というもの。実践可能な基準値の制定やセルフチェックシステムの考案など、医療の現場で様々な工夫をされている先生方、指導員の方々の苦労が偲ばれます。

とはいいつつ、そういえばその日の夕食は学会に参加した同僚と一緒に、油たっぷりの中華料理を食べに行っていたような...はからずも、頭で理解したことを生活の中で実践する難しさを、自ら証明してしまったようです。

<参考資料>
日本成人病学会ウェブサイト

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メタボロ太郎なう

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