こんにちは、HMTの井元淳です。今日から寒くなるみたいですね。
東京は観測所が移転し900m離れた場所になることで観測上気温が下がりそうなんだそうです。あくまでも観測上であり、実際には変わらないらしいのですが、天気予報で低い気温を聞くだけでなんだか今までより寒いような気になりそうですね。
11月20日、東京事務所で2014年度の先導研究助成の授与式を執り行いました。
2014年度の採択課題については「2014年度HMTメタボロミクス先導研究助成 採択研究課題を発表しました」をご覧ください。
授与式では採択者のみなさんに一言ずつコメントをいただきました。
岡島美怜さん
首都大学東京 細胞遺伝学研究室の岡島美怜と申します。この度は先導助成に採択していただきまして、本当にありがとうございます。
私達は、ひとつの細胞が活動を抑制している状態から活動を再開するときに、それに必須となるエネルギー代謝がどのように制御されているのかを明らかにしようとしています。
そこで今回採択していただいた研究課題では、卵巣の中で抑制されている卵細胞の活動を再開する「卵活性化」という現象に着目し、その前後での卵細胞内のエネルギー代謝の変化や制御機構を、メタボローム解析を通じて明らかにしていこうと考えています。
これまでの卵細胞に関する研究では減数分裂の進行や卵膜の変化などの表現型については多く研究が行われてきましたが、それらの細胞の活動停止や再開がどのような代謝制御機構の上に成り立っているのかは不明でした。
しかし今回この研究が進むことによって一細胞の動態に伴う代謝制御という生物学の基礎的知見が得られるのではないかと期待しています。
この度本助成をいただきましたことは私にとって、研究を前に進める力とメタボローム研究に関して意見交換できる方々とのご縁をいただいたものだと思っております。
このチャンスをいただいたご恩を研究の進展という形でお返しできたらと考えています。本日は本当にありがとうございました。
高橋宗史さん
神戸大学医学部 膠原病リウマチ内科 大学院2年の高橋宗史と申します。
この度はヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社のメタボロミクス先導研究助成にご採択いただきありがとうございます。
私どもの研究室では関節リウマチをはじめとする膠原病の病因、病態、および治療法に関わる研究を行っております。
関節リウマチの原因は未だ不明ですが、患者数が国内で70万人以上いると言われております。治療は日々進歩しているものの、
治療費は高額で、かつそれが一生続くと言うことで、患者さんへの負担も非常に大きく、社会的にも問題となっております。
私が現在行っている研究は代謝に注目した関節リウマチの病態解明および治療法への応用です。
この度採択いただきました研究で新規バイオマーカーの発見と病態解明の一端を担うことができればと思っております。
この度は採択いただき誠にありがとうございます。また今後も社員の方々はじめよろしくお願いいたします。
川崎薫さん
京都大学大学院婦人科学産科学研究室周産期研究室の川崎薫と申します。この度はこのような名誉な賞を受賞させていただくことができ大変光栄に思っております。
私が研究テーマとして取り組んでおります妊娠高血圧腎症は、未だ病態が解明されておらず根本的な治療法も確立しておりません。ただ非常に重症な場合には母児の生命に関わることもあります。
胎盤は非常に巨大な内分泌臓器であり、胎盤を介した物質交換やガス交換により胎児の生命が維持されます。一方、妊娠高血圧腎症は、病的胎盤から放たれる様々な因子が母体の全身臓器や血管内皮を障害することにより発症するとの仮説があり、胎盤での代謝異常が妊娠高血圧腎症の病態に関与している可能性があります。
今回、代謝解析の点から妊娠高血圧腎症の病態解明、新しい治療法の開発に挑むことができることは非常に有意義であると考えております。
いただいたチャンスを最大限生かして、患者さんの役に立つ多くの新しい発見ができるように尽力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
遠方から授与式にお集まりいただきありがとうございました。皆さんの研究が実を結ぶ日を楽しみにしています!