«

その他

メタボロミクスの論文が多く掲載されているジャーナルは?(2022年版)

metablog_2303_thumb


こんにちは。研究員の堀内です。
2023年も早二ヶ月が過ぎてしまいました。少しずつ春の足音が聞こえてくるとともに、新年度に向けた準備もそろそろ始まっている頃ではないでしょうか。研究室のメンバーが入れ替わったり、新たな環境へ向かう準備を始めたりと、どことなく気持ちも新たに、今後どういった研究に取り組もうかと改めて考える時期かもしれません。この記事をお読みいただいているのも何かの縁と言うことで、「メタボローム解析」を使った研究を新しいテーマとして考えてみるのはいかがでしょうか。

さて今回は、2022年に出版されたメタボロミクス関連論文について、PubMedを使って分析を行った結果をご紹介いたします。どのジャーナルでメタボロミクスに関する論文数が多いのか、また、2021年と比べてメタボロミクス関連の論文数が増えているジャーナルがあるのか、などを確かめました。研究テーマを決める際、論文を投稿するジャーナルについてもある程度見当をつけることがあるかと思いますので、その一助になれば幸いです。
※本記事は特定のジャーナルへの投稿を推奨する内容ではありません。

検索の条件ですが、PubMedにおいて「metabolomics」を検索キーワードとして、”Date – Publication”が2022年であるものについて分析を行いました。ダブルクォーテーションを入れずに(「”metabolomics”」ではなく「metabolomics」で)検索を行いましたので、少し検索結果が多めに表示されるようになっています。

また、PubMedでの検索において全文検索は行われないようですので、ヒットしてくるのはタイトルや書誌名、著者の所属、要旨などにキーワードが含まれている場合となります。論文の中にメタボローム解析結果が掲載されている場合であっても、要旨等にキーワードとして含まれていない場合は残念ながらヒットしてこない可能性が高いです。
なお、検索は2023年の2月から3月にかけて実施しました。論文数の細かな数字などは変動している可能性がありますのでご注意ください。

まず初めに、メタボロミクスの論文数についてです。
これまでも毎年メタボロミクスに関連する論文数は増え続けていましたが、2022年もその傾向は継続しており、2021年比で約11%増の、12,733件がヒットしました。2019年から2021年は毎年20%以上の伸び率であったことを考えるとやや鈍化したとも言えますが、論文数は1万件を突破しており、2018年と比べても倍増しています。

メタボロミクス論文数推移

また、PubMedでヒットしてくる全ての論文の中に占めるメタボロミクス関連論文の割合についても増加が続いており、2022年はPubMedの全論文のうち0.7%超の論文でメタボロミクスに関する言及がされている計算です。なお、総論文数についてですが、2022年は前年比で9,000件ほど論文数が減少しています。総論文数が前年比で減少したのはここ50年で3回目(1980年、1997年、2022年)となり、21世紀に入ってからは初めてです。そのような中でもメタボロミクス関連論文数は堅調に推移していますので、引き続き注目の研究分野であると言えるのではないでしょうか。

メタボロミクス論文割合推移

ではその中で、ジャーナルごとの論文数はどうなっているでしょうか。12,733件の論文についてそれぞれの書誌情報を取得し、件数を確かめてみました。
その結果、上位の10ジャーナルは下記のようになりました。

順位 ジャーナル名 2022年
メタボロミクス
論文数
2021年
メタボロミクス
論文数
2022年-2021年増減 2021年順位
1 Metabolites 509 413 96 1
2 Int J Mol Sci 405 304 101 3
3 Front Plant Sci 358 172 186 6
4 Food Chem 260 200 60 4
5 Front Microbiol 241 99 142 14
6 Front Pharmacol 236 134 102 7
7 Sci Rep 216 344 -128 2
8 Molecules 184 185 -1 5
9 Front Nutr 156 43 113 43
10 Food Res Int 151 66 85 24

1位のMetabolites誌は名前の通り、メタボロミクスの論文を検索しているとよく目にするジャーナルです。2021年から引き続き、論文数ではトップを維持しています。
また、3位のFrontiers in Plant Science誌、5位のFrontiers in Microbiology誌、6位のFrontiers in Pharmacology誌、9位のFrontiers in Nutrition誌と、Frontiers Mediaが出版するジャーナルが多くランクインしています。これら4誌は2021年と比べていずれも100報以上メタボロミクス関連の論文数が増えています。
一方で、Scientific Reports誌は2021年と比べて100報以上メタボロミクス関連論文が減少し、順位を大きく下げています。
なおこれらの論文数は、ジャーナルごとの総論文数の増減にも影響を受けていると考えられます。下表のように、Frontiers系列の総論文数はいずれも1,000報以上増加している一方で、Scientific Reports誌は2,000報近く減少しています。

順位 ジャーナル名 2022年 2021年 メタボロミクス論文数増減 総論文数増減
メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率 メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率
1 Metabolites 509 1,332 38.2% 413 892 46.3% +96 +440
2 Int J Mol Sci 405 16,481 2.5% 304 13,757 2.2% +101 +2,724
3 Front Plant Sci 358 6,074 5.9% 172 3,715 4.6% +186 +2,359
4 Food Chem 260 4,306 6.0% 200 4,024 5.0% +60 +282
5 Front Microbiol 241 5,899 4.1% 99 4,745 2.1% +142 +1,154
6 Front Pharmacol 236 6,047 3.9% 134 4,579 2.9% +102 +1,468
7 Sci Rep 216 22,653 1.0% 344 24,534 1.4% -128 -1,881
8 Molecules 184 9,143 2.0% 185 7,788 2.4% -1 +1,355
9 Front Nutr 156 3,542 4.4% 43 1,415 3.0% +113 +2,127
10 Food Res Int 151 1,485 10.2% 66 965 6.8% +85 +520

そこで続いて、各ジャーナルの総論文数に占めるメタボロミクス関連論文の割合を確かめてみました。
メタボロミクス関連論文数が10報以上だったジャーナルについて、メタボロミクス関連論文の割合が大きかったジャーナルを調べたところ、上位10ジャーナルは下記のようになりました。

順位 ジャーナル名 2022年 2021年 メタボロミクス論文数増減 総論文数増減
メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率 メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率
1 Metabolomics 103 103 100% 113 113 100% -10 -10
2 Metabolites 509 1,332 38.2% 413 892 46.3% +96 +440
3 Mol Omics 31 85 36.5% 16 85 18.8% +15 0
4 J Proteome Res 67 321 20.9% 126 543 23.2% -59 -222
5 Phytochem Anal 22 125 17.6% 21 138 15.2% +1 -13
6 Mass Spectrom Rev 15 98 15.3% 12 114 10.5% +3 -16
7 Biomed Chromatogr 50 330 15.2% 42 316 13.3% +8 +14
8 Mol Nutr Food Res 31 243 12.8% 37 278 13.3% -6 -35
9 J Lipid Res 18 149 12.1% 15 155 9.7% +3 -6
10 Microbiome 28 245 11.4% 24 245 9.8% +4 0

1位は名前の通りですが、Metabolomics誌となりました。また、Molecular Omics誌、Mass Spectrometry Reviews誌など、オミクスや質量分析計との関連が深いジャーナルも上位に並んでいます。
一方で、8位にMolecular Nutrition & Food Research誌、10位にMicrobiome誌がランクインしており、食品・栄養分野や微生物分野などにおいてメタボロミクスの応用が進んでいることが改めて確認できるとも言えます。

最後に、各ジャーナルの総論文数に占めるメタボロミクス関連論文の割合について、2021年からの伸びが大きいジャーナルを確認しました。
例えば2021年は総論文数が1,000件で、うちメタボロミクス関連論文が10件だったとするとメタボロミクス関連論文割合は1%です。
そこから、2022年は総論文数が1,500件、うちメタボロミクス関連論文数が30件になったとすると、メタボロミクス関連論文割合が2%となるので、2021年からの伸びは「2.0倍」となります。この伸び率でランキングを作った結果が下記です。
なお、2021年、2022年のいずれにおいても10報以上のメタボロミクス関連論文が掲載されているジャーナルのみを対象としています。

順位 ジャーナル名 2022年 2021年 メタボロミクス論文割合増減
メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率 メタボロミクス論文数 総論文数 メタボロミクス論文率
1 PeerJ 32 1,850 1.7% 10 2,112 0.5% 3.65
2 Bioinformatics 33 1,006 3.3% 13 1,005 1.3% 2.54
3 Zhongguo Zhong Yao Za Zhi 31 767 4.0% 13 789 1.6% 2.45
4 Biomedicines 49 3,310 1.5% 14 2,020 0.7% 2.14
5 Plant Physiol 23 653 3.5% 10 558 1.8% 1.97
6 Front Microbiol 241 5,899 4.1% 99 4,745 2.1% 1.96
7 Mol Omics 31 85 36.5% 16 85 18.8% 1.94
8 Life Sci 16 989 1.6% 12 1,412 0.8% 1.90
9 Poult Sci 19 905 2.1% 11 945 1.2% 1.80
10 Genomics 13 294 4.4% 13 509 2.6% 1.73
11 Bioresour Technol 24 2,255 1.1% 14 2,256 0.6% 1.72
12 Phytomedicine 69 816 8.5% 28 567 4.9% 1.71
13 Clin Chim Acta 16 397 4.0% 10 423 2.4% 1.70
14 J Hazard Mater 85 3,570 2.4% 64 4,560 1.4% 1.70
15 J Transl Med 22 631 3.5% 11 530 2.1% 1.68
16 J Appl Microbiol 18 662 2.7% 11 656 1.7% 1.62
17 J Fungi (Basel) 34 1,337 2.5% 18 1,126 1.6% 1.59
18 Oncoimmunology 16 199 8.0% 12 231 5.2% 1.55
19 Biology (Basel) 27 1,874 1.4% 13 1,392 0.9% 1.54
20 J Sci Food Agric 39 1,051 3.7% 26 1,078 2.4% 1.54

生命科学の研究全体からするとまだまだ小さな研究分野と言えるかもしれませんが、着実に応用分野・研究範囲が広がっていっているのがおわかりいただけたかと思います。
メタボロミクスでお困りの際は是非HMTまでお声がけください。最後までお読みいただきありがとうございました。

«

メタボロ太郎なう

Photos on flickr