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HMTからのお知らせ

発見はいつでも予想外?


こんにちは、HMTの大賀拓史です。

ニュースリリースにも出ていますが、私が担当していた大阪大学・理化学研究所・慶應義塾大学との共同研究の論文が、海外の学術雑誌に掲載されました。一つの業務を達成したことはもちろん、研究者として発見を世に問うことが出来た嬉しさは、感無量の一言に尽きます。研究の概要をご紹介していますので、ぜひニュースリリースもご覧下さい。

今回の研究は、バクテリアが持つ酵素タンパク質の知られざる働きを、オミクス解析を使うことで発見できた!というものです。


最近はタンパク質工学の発達もあり、タンパク質、その中でも特に生体触媒として働く『酵素』が様々な産業分野で利用されています。みなさんの身近にあるものとしては、例えば普段使われている洗剤にも、タンパク質を分解する酵素が使われているものが市販されています。

タンパク質は、一つ一つが異なる分子でもよく似たカタチ(アミノ酸配列や立体構造)を持つものは、その機能も似ているという特徴があります。そのため次々に新しいタンパク質が発見・研究されている今日では、カタチの情報だけからその働きを予想することも可能になりつつあります。特に「生物種はわからないけれど、遺伝子情報が分かる」メタゲノム解析は、生物資源の探索法として最近のブームとなっているようです。

しかし、そこは多様なる生命の神秘!実際にタンパク質の機能解析に取り組むと、カタチが似ていても実は活性が違う、あるいは細胞の中での働きが違う酵素の仲間が、意外と数多く存在することに気付かされます。そういった酵素の機能をちゃんと捉えるためには、先入観に縛られない、ノンバイアスな解析が必要なのでは?というのが、酵素屋としての私の実感でした。

目の前にあるデータを最大限に活用することはもちろん大切なことですが、常に予想外の発見を求める姿勢も持ち続けたいものですね。

さて、今日は新年度になって2度目の週末です。職場全体の歓迎会やお花見が終わったこの時期、「じゃあ、今度は身近な人間で飲みにでも」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そろそろ自分の中ではキャラクターが定着しつつあるアノ新人にも、もしかすると意外な一面を見ることが出来るかもしれませんね。ノンバイアスなスクリーニングのためにも(?)ぜひ色々な話題で盛り上がってください。

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メタボロ太郎なう

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