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グランド・キャニオン・ナンコウィープ ・トレッキング


HMT Americaの星場勉です。五泊六日でグランド・キャニオン・ノースリムのナンコウィープトレイルに挑戦してきましたのでご報告させていただきます。

ナンコウィープトレイルは全行程46Km、標高差1735m(2351m-849m)。水源が麓のコロラド・リバーとナンコウィープ・クリークしかなく、半分以上の行程は切り立った崖側面の30cmほどの道幅で、高所恐怖症の方にはお勧めできないという、グランド・キャニオンで最も難しいと言われているトレイルです。今回は国立公園局から許可を取得後、友人8名とチャレンジしてきました。

 

 

トレッキング初日、当日分、明日分、最終日分(トレイルの途中に隠しておく)の3日分の水と全行程の食事を荷物に加えてスタートします。パックの全重量は30kgほどになりました。グランド・キャニオンは峡谷なので、この荷物をしょって下ることになりますが、帰りの登りは重さが約半分くらいになります。通常の登山とは逆で、登りがより軽いパックになるというのはグランド・キャニオンならではです。全行程はトレイルヘッド→マリオン・ポイント→ティルテッド・メサ→ナンコウィープ・クリーク→コロラド・リバーです。

危険なトレイル

 

トレイルヘッドから峡谷の始まりまでの数マイルは500mくらいの登りで、重いパックもあり、結構厳しいです。やっとリムにたどり着き、そこからはキャニオンの側面をトレッキング。反対側の頂きには積雪が見え時々強風が吹きますが、気温は比較的マイルドです。マリオン・ポイントまでの道が狭くて危険と言われておりましたが、個人的にはそれほど危険に感じませんでしたが、確かにヒヤッとするところはいくつかありました。マリオン・ポイントで予備用の水をスタッシュします。引き続きトレッキングを進め、午後4時頃、目的地ティルテッド・メサに到着しここで一泊。見晴らしのいい場所にテントを設置。ディナーはフリーズドライ・ビーフシチュー。味はまあまあ。風がときおり強く吹き、なかなか寝付けません。渓谷のトレッキング

 

2日目は5時に目が覚めました。朝食を食べて8時頃出発。標高が若干下がり前日よりちょっと気温は高めです。引き続きキャニオンの側面をトレッキング。下り傾向が強くなり、また足場も比較的大きめな岩のため歩きずらく、普段使わない筋肉を使うので足がフラフラします。しかしながら峡谷からの眺めは最高です。12時頃ナンコウィープのキャンプ地に到着し川沿いにテントを設営。ナンコウィープ・クリークに足を入れ川でくつろぎ疲れを癒します。晩御飯を食べ7時頃テントへ。すると風が時々強く吹き、空模様もあまりよろしくない。さらになんとテントの窓のジッパーが壊れて閉まらない。するとパラパラと雨が降り始めました。その後は大雨にならなかったのですが、鉄砲水が怖くてなかなか寝ることができませんでした。

 

3日目も5時起き。この日はコロラド・リバーへ片道3マイルのサイド・トリップ。クリークに沿って目的地までのハイクです。この区間の峡谷の中の風景は素晴らしく圧巻です。コロラド・リバーに到着し、この日の目的であるナンコウィープ・グラナリー(穀倉)と呼ばれる約1000年前の遺跡に向かいます。この遺跡はコロラド・リバーの崖側面の非常に高いところにありまして、その昔インディアンがネズミなどから穀類を守って保管するために作ったそう。ここに登りコロラド・リバーの景観を見て一言。「life is good」。その後、川のほとりで一息ついてキャンプ地へ。午後1時を過ぎると日差しが一段と強く、また気温も高くなり平坦なハイクでも大変です。キャンプ地に戻り、木陰でクリークに足を突っ込み、テキーラをちびりながら、だらだらと水の飲料水用濾過作業。至極の時間です。この夜は風もなく、強烈なほどの星空。新月が近かったのか、かつてこんなに沢山の星を見た事がありません。後から月が峡谷から出てくるのですが、この月も無茶苦茶明るい。そうしたら星が見えずらくなりました。コロラド・リバー

 

4日目は暑い時間帯のトレッキングをできるだけ避けるため、いつもより早く起きて6時30分にキャンプを出発。マリオン・ポイントまでの登りです。最初の数時間は急勾配で非常につらい。パックは軽くなったとはいえ、登りを甘く見ていました。2泊目に宿営したティルテッド・メサで一休み。そこから峡谷沿いをマリオン・ポイントまで一気に。帰り道も同じ道なのに風景が全然違っていて、あまりにもに高いところを歩いていることに驚きました。マリオンポイントに到着。隠していた水を確保しテントを設置。早々に晩御飯を食べて7時に就寝しました。

 

最終日。風は時々強く吹くもののよく寝る事が出来ました。トレイルミックスと松茸スープで朝食。7時に最後のトレッキングに出発。マリオン・ポイントからリムまではサクッと行けました。そこから車を駐車しているトレイルヘッドまでは下りです。午前11時、全行程を無事に終了。その後、昼食にジェイコブ・レイク・インでおいしいハンバーガーを食べた後、車で3時間半かけラスベガス空港へ向かいました。

 

トレッキングから戻ってきて家族に言われて知ったのですが、アウトドア靴メーカー・メレル社の創業者のご家族2人が同じ期間中ノースリム付近のトレイルで増水した川に流されて行方不明になっていました。我々のグループでは一人は捻挫、もう一人は岩場で転倒し顔面打撲を負いましたが幸い軽症で済みました。このようなリモートな場所では救助が簡単にされないので、すべての行動において細心の注意が必要です。

 

私にとって今回でグランド・キャニオンでのトレッキングは、サウス・キャニオン、ディア・クリーク・トレイルを含め3回目になります。今回のトレイルは、前評判通り文句なしのベスト・トレイルでした。苦行を経てコロラド・リバーに到着し、その風景を見ると毎回「生きていてよかった」と実感します。また大自然にどっぷりはまり、街暮らしと対局にある原始的な環境に自分を置くことによって、五感が再生されるような気持ちになれます。このリセット感が何度もこの峡谷に足を向けさせるのでしょう。次回は2年後の2019年に予定しています。

 

<これからグランド・キャニオン・トレッキングに行かれる方へのおすすめ>

-ガイアGPS (超強力アウトドアGPSアプリ)

-ダクトテープ (第二の皮膚、靴擦れ防止)

-新月の時期 (星が綺麗)

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メタボロ太郎なう

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