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ABC's of Metabolomics

メタボロミクスの始まり


こんにちは、大賀です。こちら鶴岡は、いよいよセミの合唱が聞こえる季節になりました。全国的にも本格的な夏の到来でしょうか。暑さに負けないよう、がんばりましょう!

さて、今回はその歴史的背景を振り返ることから始めたいと思います。

そもそも、”メタボロミクスの始まり” はいつのことなのでしょうか?


生体内の代謝分子を調べる研究は 50 年以上前からすでに始められていますが、メタボロミクスの概念が本格的に芽生えたのは、1971 年の Pauling と Robinson らの論文だとされているようです。

彼らは気-液クロマトグラフィーを用いることで、尿と呼気のサンプルから 250 を超えるピークを検出することに成功しました。そして、定量的な解析結果は個体の遺伝的背景や病態といった多様性を反映し得る、というアイデアに至りました。

今日のメタボロミクスとはまだ少し離れたところにあるかもしれませんが、データ解析にコンピュータプログラムを用いる有効性を提示していることや、被験者の栄養摂取を制限することで定量性をコントロールしていることなど、学ぶところが非常に多い研究です。

そして何より、まだ限られた技術環境の中でこれだけの野心的なアプローチを試みた、その探究心を見習いたいものです。

Quantitative analysis of urine vapor and breath by gas-liquid partition chromatography.
Pauling L, Robinson AB, Teranishi R, Cary P. Proc Natl Acad Sci U S A. (1971) Vol 68, No 10, pp 2374-6
[PubMed]

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メタボロ太郎なう

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