こんにちは、HMTの井元淳です。東京は急に涼しくなりましたね。このまま秋になってもらいたいものです。
9月9日、鶴岡市にあるHMT本社で2010年度の先導研究助成の授与式を執り行いました。採択者のみなさんは授与式の後、同じく鶴岡市で開催された第5回メタボロームシンポジウムにも参加されました。
2010年度の採択課題についてはこちらをご覧ください。
今年も目録を用意しました。
今年も一人一人個別にコンサルティングを行い、実験デザインを決定していきました。あらかじめ電話でのヒアリングも行っていたのですが、どなたのコンサルティングもディスカッションが弾み1時間があっという間でした。
授与式では採択者のみなさんに一言ずつコメントをいただきました。
鳥居ゆかさん
この度はこのような機会をいただきありがとうございました。インフルエンザと新型インフルエンザ脳症についての研究が採択されたのは、社会の関心の高さが反映されたのだと思います。今回の研究によって、病態解明に向けてきっと新しい知見を見出すことができると考えています。今後いっそう研鑚してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
小池進介さん
このたびは助成金採択していただきありがとうございました。私は統合失調症をはじめとした脳画像の研究をやっています。精神疾患というのは、うつ病の生涯有病率が全人口のおよそ20%、統合失調症では2~3%と言われています。にもかかわらず他の内科の疾患と比べてかなり後れを取っているのは、やはり客観的なデータが未だかつてないということが原因と思われます。客観的な指標は、我々の研究室が中心となって研究しているトポグラフィーくらいしかありませんが、それが精神医療に認められたのが2009年4月です。現状ではうつ病と統合失調症を区別できるものがほとんどありません。他の方から見ても胡散臭がられてしまうし、当然患者さんは精神的に悩んでいるので客観的な判断がしづらい。そこでメタボロミクスがバイオマーカーを見つけるきっかけになればいいと応募しました。今回の助成金による解析が客観的なバイオマーカーの足がかりになればと思っています。どうもありがとうございました。
笹島順平さん
僕が専攻している分野はすい臓がんです。一貫してすい臓がんの治療を中心とした臨床研究を行ってきて、4年前に大学院に入学してからはすい臓がんの新規治療法に関する研究を進めています。すい臓がんはご存じのとおり難治性のがんで、他の多くのがんの治療法が開発されて予後が改善する中で、すい臓がんはまったく治療法の開発が進んでいません。今回の研究によって、新しくすい臓がんの治療に役立つ成果が出せればと思っています。この度はどうもありがとうございました。
皆さん研究領域は違いますが、それぞれの領域が抱える問題を解決したいという問題意識の高さがひしひしと伝わってきました。これから皆さんのサンプルを受け取ってHMTで分析することとなります。皆さん採択が決まってすぐサンプルの収集について考えてくださっていて、どんなサンプルが届くのか楽しみです。