こんにちは、鶴岡研究所の石川貴正です。9月2日から4日にかけて幕張メッセで開催された分析展へ参加してきました。今年の出展企業は294社であり、また各社による新技術説明会は277件で、昨年より1割程度減少しておりました。その中でバイオ関連の技術発表は若干の増加を示しており、注目冷めやらぬといったところです。
さて、古い記憶を辿ると前回参加したのは8年前で、前職のMSエンジニアとして参加したのが最後です。当時は各MSメーカーの機器を見て、特徴、スペックを見比べておりましたが、今年は立場と要求の違いからか、前処理の自動化、安定性の向上、さらに感度向上をあと押ししてくれるものは何かないか。といった目で、参加させていただきました。
いろいろ収穫はありましたが、今回は特に感度に注目して発表・展示を見て回りました。今後のメタボローム解析を考えたとき、感度の優劣は試料に合わせた最適の前処理を練ることができるかにあると考えています。質量分析装置の感度はイオン透過率や検出器の性能等の向上に依存するところが大きく、 メーカーの技術革新に期待したいところです。また分離メソッドについては、一度スタンダードのメソッドを決定し、標準物質のライブラリー(RT,MT-Index)を構築したならば、ちょっとやそっとの感度、分離能の向上では、その分離条件を変えることはできません。 そうなると分析者としては、前処理方法を最適化し、そのなかに独自性と優位性を示していくことが大切であると考えます。
メタボロミクスの一連のなかで、メタボライトを測定するためのプラットホームが評価され、それぞれが浸透していき、また、そこで取得したデータの解析、可視化ソフトの開発が 進んでいきました。現在は次のステップとして、データべース化を見据えた規格化の作業に多くの方が目を向け動き出しております。
分析者としてのひとつの役目は終えましたが、感度、信頼性、堅牢性の向上を図ることを常に念頭におき、HMTメンバーとして精進していきます。