HMT営業・マーケティング本部山領佐津紀です。12月15日、「食品機能性と腸内細菌制御による予防・治療へ」というタイトルにてHMT主催のセミナーを開催いたしました。今回から、日本橋ライフサイエンスハブでのセミナーでしたが、とってもきれいな会場でスタッフ一同テンション上がり気味でした。
演者には東北大学農学部 都築毅先生、森永乳業株式会社基礎研究所 菅原宏祐先生、奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 新藏礼子先生の3名をお招きし、非常に興味深いご講演を賜りました。
近年非常に熱い研究分野である食品機能性と腸内細菌をテーマにしているということもあり、参加者約80名とHMTのセミナーとしては非常に大規模なセミナーとなりました。
最初のご講演は都築先生より和食の機能性についてお話しいただきました。
先生はご研究の中で1960年から2005年まで15年刻みで年代別の平均的な日本食を作り、マウスに食べさせることで効果を確認し、1975年の食事が最も健康維持と抗加齢に効果があることを確認されました。メタボロームによる各年代別の日本食の成分を解析した結果、1975年の食事の特徴から豆類・果実類・藻類・魚介類・卵類・調味料及び香辛料類が重要であり、様々な食材を少しずつ食べることが重要であると結論付けられました。
次のご講演は菅原先生よりビフィズス菌の機能性について詳しい研究結果をご紹介いただきました。
ビフィズス菌による腸内代謝産物への影響をメタボローム解析の代謝経路で確認した内容の他、ビフィズス菌のロンガム種に属するBB536は、腸内細菌と相互作用しビフィズス菌以外が作る酪酸やビオチンといった有用物質の量を増加させているという研究結果をお話しいただきました。
最後のご講演は新藏先生より生体を守る免疫物質の一つである免疫グロブリンA(IgA抗体)がどのように腸内細菌叢を制御しているかについてご発表いただきました。腸管IgA抗体は細胞増殖に重要な代謝酵素のうち選択的に悪玉菌の酵素にのみ結合することで、悪玉菌の増殖を抑制していることを示されました。このIgA抗体を摂取することで腸内細菌叢を改善することができるのではないかとお考えで、今後はメタボローム解析により良好な腸内環境を定義づけようとされていらっしゃいます。
3名の先生方皆様が非常にわかりやすく研究の手順から結果までお話しをいただき、参加者の皆様からもセミナーアンケートで分かりやすく興味深い内容であったと、かなりご好評をいただきました。ありがとうございました。
2月に違うテーマのセミナーを開催予定です。ご参加お待ちしています。