こんにちわ、バイオメディカルグループの大賀です。鶴岡は先週から季節外れの晴れ空が見えたりもして、積っていた雪もすっかり溶けていました。もしかしたら、もう春? なんて冗談を言っていましたが、今朝起きたら僅か一晩で一面の雪景色に戻っていました。
そんな天気もどこ吹く風、暦の上では早や立春、節分ですね。そういえば昨年は節分豆について取り上げましたが、節分といえばもう一つ、恵方巻きも欠かせません!と思っていたのですが、実はコレ、二、三十年くらい前までは関西のローカル行事だったものを、いろいろな業界で販促キャンペーンとして全国に広めたものだそうですね。それにしても、家族揃って無言で同じ方向を見つめながら太巻きを口いっぱいに頬張る、あのシュールな光景を全国に広めるとは...とんでもないモノを流行らせてくれたものです。
さて、すしといえばシャリが命。シャリといえばお酢、お酢といえば発酵、発酵といえばメタボロームですよ!...まぁ、とにかく今回はお酢とその生産者、といっても人ではなく、酢酸菌のお話です。
お酢の歴史を紐解くと、その起源はなんと古代文明に遡るのだとか。現代においても、洋の東西を問わずこれだけ世界中で使われる調味料は、他にはちょと見当たりませんよね。そのお酢、つまり酢酸をエタノールから生産してくれるのが、私たちの身近に存在する酢酸菌と呼ばれる多種の菌です。基本的には、お酒の中に酢酸菌を入れておけばあとは勝手に、増えるついでにお酢を作ってくれるのですが、そこは世界中で作られる発酵食品、原料や発酵の条件の違いで様々な種類、風味のお酢が作られます。より美味しい、良いお酢を作らせるにはどうすればよいか?
こちらのレビューでは、イタリアの名産・バルサミコ酢の発酵生産に関する研究成果がまとめられています。菌種や発酵条件も重要ですが、どうやら予備培養の培地がイチバンのポイントだということが分かってきたそうです。
しかし、増殖と発酵の両方で最適な条件を実現するためには、エタノールや糖源、pHをはじめ培地成分などの多数の要素が関与しており、全ての把握にはまだ至っていないとか。全てがコントロールされた発酵食品というのはかえって少し味気ないかもしれませんが、新しい風味の開発や安定生産のために、今後の成果に期待したいですね。
ところで、酢酸菌が作るものは酸っぱいお酢のみにあらず。こちらは甘いスイーツに使われるナタデココも、実は酢酸菌 (ナタ菌) の発酵産物だということをご存じでしたか?私自身は、つい最近まで植物から取ってきたものだと思っていたので、その真相を知ってびっくりしました。そういえば、しばらく前にナタデココの大流行がありましたが、その頃に比べると最近はお目にかかる機会がすっかり減りました。せっかくなので久しぶりに食べてみましたが、あの独特の食感はやはり食べていて楽しいですね。そんなナタデココ、最近では均一で含水量が大きい繊維としての特性を生かして、超薄型ディスプレーの基盤としての利用が期待されているそうです。
伝統食品から最先端素材まで、使い途に時々の流行りはあれども、酢酸菌の発酵から得られるものは時代を問わず私たちにとってありがたいものですね。もっとも、何億年も前から発酵を続けてきたあちらからすると、そんな利用され方こそ、つい『最近』の (とんでもない?) 流行りなのかもしれませんが...そうだとするとこの流行りは、末長く続いてもらいたいものです。
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