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ABC's of Metabolomics

大賀拓史の韓国紀行 ~来た、見た、わかった!~


こんにちは、B&Mの大賀です。今回は韓国メタボロミクス学会と韓国メタボロミクスの現状についてのご報告です。

今学会(KMSシンポジウム2011)の参加者人数はおよそ150名。大学や公的研究機関の研究者が多く、企業からの参加はほとんどがスポンサーでした。

全体的な印象として、LC-MSを使った研究が多く、GC-MSやNMRを使った発表が「ちらほら」という割合でありました。LC-MSの利用が多い理由は、もともとプロテオミクスから移ってきた研究者がそのままメタボロミクスをやろうとしているから、という事情があるからだそうです。

日本で論文を漁っている印象だと、NMRを使った研究も盛んなのかな?と思っていましたが、実際は資金力がある一部の公的機関で行われているものの、企業や規模の小さい研究グループではあまりやっていないそうです。ちなみに、CE-MSを使ったメタボロミクスは残念ながら認知されていないようで…日本生まれのこの技術、必ず近い将来には会場を席巻させてやる、と心に誓ってきました。

研究内容は、日本や欧米の学会と少し異なり、医療、バイオマーカー、創薬といったキーワードがそれほど多くありません。むしろ、食品、あるいは漢方を含めた天然物に関する研究が盛んに行われているようです。

KMS2011また、LC-MSがメジャーなためか、脂質代謝や二次代謝産物のプロファイルングに注目している研究者が多く、一方で中心代謝について、特に代謝パスウェイ上で変化を追う、という視点はそれほど一般的ではないようでした。こういった韓国特有のメタボロミクス事情は、会場でのやりとりではじめて分かったことで、やはり実際に行ってみて良かったと思います。

KMS2011印象と実際が違った点はもう一つありました。今回、口頭発表では韓国メタボロミクスのコア研究者ともいうべき先生方が講演をされていたので、発表後に突撃してコンタクトを取ってきました。「エラい先生ばかりだし、無礼がないように気をつけないと!」と身構えていたのですが、実際にはとてもフランクな方ばかり。実験や解析技術の話になると、若手研究員と同じかそれ以上の熱気でこちらにも質問をされてきました。ちょっとびっくりしましたが、こういった生身の研究者同士のコミュニケーションもその場に行ってみてこその醍醐味ですね。

さてさて、韓国のメタボロミクスの実情を探るというミッションは果たしたものの、もう一つの目的「CE-MS解析技術のプロモーション活動」が残っております。こちらについては、また次のエントリーで。

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メタボロ太郎なう

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