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ABC's of Metabolomics

Metabolomics2011レポート-鶴岡市とケアンズ


B&Mの篠田です。6月27日~30日にオーストラリアのケアンズで開催された第7回Metabolomics学会に参加し、うつ病マーカーについて口頭発表をしてきました。ランチ直後のセッションにも関わらず、時間切れになるまで質問がたくさん出て、今後のバイオマーカーの開発に重要な示唆をいただきました。

学会の行われたケアンズはグレート・バリア・リーフへの玄関口であり、年中旅行者でにぎわい、主要産業は観光です。日本から時差がなく、行かれたことがある方も多いかもしれません。私も2007年に家族で休暇で訪れたことがあり、2度目の訪問となりました。

会場はケアンズ・コンベンション・センターで、ケアンズのホテル街からアクセスの良い場所にあり、空港からも車で10分程度で大変便利な立地でした。センターはとても広くてきれいで、荷物や郵便物の受け取りができるなどサービスも充実していました。会食・パーティーも可能なので学会のレセプションパーティはセンター内で行われ、素敵なカントリーミュージックの生演奏までありました。センタースタッフも親切で、荷物が届かなかった事件が起ったときも、センター中を捜索してくれました。

今回の学会は、当初山形県鶴岡市での開催が計画されていましたが、東日本大震災のために、開催地がケアンズに急遽変更となりました。そこで感じたことは、メタボロームにおけるアジア・オセアニア地域の連携の重要性と、鶴岡市も日本のケアンズになれる、ということです。

オーストラリアはアメリカやヨーロッパからのアクセスが悪いので(日本からだとメキシコやブラジルに行くようなイメージ)欧米の研究者の発表は比較的少なく、必然的にアジア・オセアニア地域の研究発表が多かったのですが、私が参加した第4・5回と比べて研究レベルは同等かそれ以上でした。特にオーストラリアは、リーマンショック以後の景気回復が順調に進んでいることもあり、Bio21を初めとした、バジェットが潤沢に付いた大型の研究を行っているチームがたくさんありました。ご存知のように、中国、シンガポールの生命科学研究の拡充は近年めざましく、日本を含めた国々を核として、距離的に近いアジア・オセアニアで連携し、高いレベルの研究を遂行していくことが可能であると強く思いました。

今は国際化・ボーダレスの時代と言われていて、国の間の物理的な距離は関係ないと思ってしまいますが、ヨーロッパや北米開催の学会に行くと、時差や十数時間のフライトで、行くだけで疲れてしまいます。体内時計は日本の真夜中ですから、正直昼の発表セッションは眠い。無料で振舞われるコーヒーを何杯飲むことか。

それに比べて、アジア・オセアニア地域は時差はあっても1-2時間、夜日本の空港を出発し、次の日の朝から行動できます。今回の学会も、21時に成田空港を出発し、機内で一眠りしたら翌朝5時にケアンズに到着しています。すぐに日本と同じ感覚で行動開始でき、昼間の重要なセッションで船を漕ぐこともありませんでした!これなら国際的な共同研究もスムーズに進みます。アジア・オセアニア地域の研究者がこのままの勢いでメタボローム研究を推進し、各国の拠点間の相乗効果で欧米を凌駕することも十分可能でしょう。その核の1つが鶴岡市のメタボロームキャンパスであることは間違いありません。学会冒頭の慶應義塾大学の冨田教授の基調講演でのキャンパス紹介のムービーは世界の度肝を抜いていました。

モスマン渓谷学会のセッションが無かった1日は、HMTの4人でレンタカーを借りて、ケアンズから少し北上した場所にあるモスマン渓谷とポートダグラスを巡りました。モスマン渓谷への海外線をドライブしながら感じたのは、鶴岡市が日本のケアンズとなることは突拍子もない考えではないな、ということです。

ケアンズの人口は13万足らずで、鶴岡市と同じです。幹線道路の脇に広がるサトウキビ畑は、庄内の田園風景を思わせるものがあり、山と海が近接していて両方のレジャーを楽しめる点も一緒です。鶴岡にはケアンズより安くて美味しい食事があり、出羽三山など外国人が好む山岳信仰の拠点や、素敵な温泉旅館もたくさんあります。

庄内空港にLCCを中心として戦略的に海外からのアクセスを整えること、さらにコンベンション(会議施設)を1つの産業として捉え、ソフト・ハード両面で戦略的に育成すれば、間違いなくケアンズを超える国際都市になれると思います。学会や展示会は集客・経済効果が高く、学会をきっかけに鶴岡を訪れた方が次はレジャーで来る事が期待できるからです。鶴岡が増設中のメタボロームキャンパスが完成すれば、これまで以上に大きな学会を開催することができるようになるので、十分に国際学会に対応することができるでしょう。

実際にMetabolomics2014は鶴岡での開催が決定しており、メタボロームキャンパスが利用されます。これをきっかけとして鶴岡市が日本のケアンズとなってより一層発展するよう、より魅力的な研究発表をして海外の研究者をたくさん呼ぶために、今から準備を進めておこう!と心に決めました。

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メタボロ太郎なう

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