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ABC's of Metabolomics

いまアツいメタボローム解析とは? -代謝フラックス解析②


こんにちは、B&Mの大賀です。前回から、いまアツいメタボローム解析とは?第一弾として、代謝フラクソミクス解析のレビューをご紹介しています。

2報目にご紹介するのは、2年前に紹介した論文のコレスポンディングオーサーであるUwe Sauer博士のグループから出たレビューです。

微生物を中心にして、メタボローム解析と13Cラベルによる代謝フラックス解析の研究成果が多数まとめられています。代謝フラックス解析自体は昔から行われていますが、このレビューでは、メタボロミクスを含めたオミクスの発達により何ができるようになったのか、という点が指摘されています。

まずメタボローム技術の向上により、測定対象が広がったことで、特に微量中間体を含めた完全経路のフラックス解析が現実的になったということ。また、機能ゲノミクスに代謝データを加えることで、いわゆる「機能未知」酵素の活性を同定し、新しい代謝経路を描くことができるという成功例がまとめられています。

特にきわめて優れた文献として取り上げられているエチルマロニルCoA経路の新規生理機能の発見には、「very elegant study」とのコメントがあり、何かこう、単なる科学文献を超える感情が読みとれそうです。

一方で今後に向けての課題に関しては、冷静な視点で指摘されています。

まずサンプリングについては、できるだけ細胞外への代謝分子の漏出が少ない手法を確立するか、あるいは何らかの補正が必要であること。また、細胞集団内のヘテロ性を打ち消すために1細胞単位での測定が望まれており、この点に関してはFRET技術の発展が期待されているそうです。そして最後に、異種細胞集団(=細胞社会)内での細胞間のやりとりをどう捉えるか。この点は本当に大きな課題ですが、自然環境の理解や、また腸内細菌の利用など期待は大きいようです。

実はこのレビューには、HMTと慶応大学の論文が4つも引用されています。フラックス解析の権威である(と私が勝手に思っている)Sauer大先生が取り上げてくれるとは...やはり、フラックス解析には中間体もばっちり見えるCE-MSですよ!(残念ながらそこまでは書かれていませんので、あしからず)

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メタボロ太郎なう

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