こんにちは、なんだかずいぶんお久しぶりですね。B&Mの大賀です。
鶴岡に来て3年目の今年、実は初めて、夏の盛りに実家がある関西に帰省しました。「庄内も夏になるとやっぱり暑いね~」なんて言っていましたが、なんのなんの~久し振りに味わう熱帯夜は「これが温暖化というヤツか?」と言わざるを得ない、記憶の中のモノとは桁違いの不快感...ああ、もう南国には住めない体になったのだ、とこちらで流れた時間(と失った体力)に思いを馳せる、今日この頃です。
さて、振り返れば早いもので、このメタブローグもかれこれ2年以上続いています。この僅か2年という期間で、メタボローム解析が活躍する分野は本当に大きく広がりました。以前からも折にふれて色々なメタボローム解析事例を紹介してきましたが、今回からしばらくの間、いま特にホット(だと大賀が勝手に思っているよう)なメタボローム研究分野を集中的に取り上げて、紹介していきたいと思います。
ということで、さっそく、どんなテーマを選ぼうかと...
実は2年前のちょうど今頃、このブログで私、「フラクソミクス」について書いておりました。そういえば、メタボロームのプラットフォームを用いた代謝フラックス解析は、この2年で特に研究発表数が増えたテーマの一つ。この流れはきっと何かの運命!?
というわけで、『いまアツいメタボローム解析とは?』第一弾は「代謝フラックス解析」に注目していきましょう。最近の進展を振り返る意味で、2008年以降に掲載された3報のレビューを紹介します。
1報目は、そのタイトルもズバリ「Metabolomics and Fluxomics approach」! フラクソームとメタボロームの基本的なポイントから述べられていて、イチからの勉強やおさらいにはちょうど良い内容です。
メタボロームに関しては「Target analysis」と「Metabolic profiling」の違い、さらに後者の中でも「fingerprinting(細胞内代謝プールが対象)」と「footprinting(培地など細胞外代謝プールが対象)」の違いについてのコメントがあり(この点についてはまだ議論が残る部分ではありますが)、用語の概念を再認識する上で勉強になります。また、NMRやMS、FT-IR といった測定装置の特徴や、近年のデータベースについて、研究を行う上で必要な一通りの内容が簡潔にまとめられています。
フラクソームに関しては、最も有効なアプローチとして安定同位体を用いた追跡解析が挙げられています。しかし一方で、現時点では13Cラベルグルコースを用いた、中心糖代謝という限られたネットワークの解析が主であるという問題点も提示されています。また、グルコース中のどの炭素原子をラベル化することで解析対象となる経路がどう変わるか、といったややこしい点もわかりやすい図で示されています。
フラクソームのデータを解釈する上で、代謝経路のモデリングを含むいくつかのアプローチがありますが、このレビューでは特に、代謝システム全体に大きな影響を及ぼす因子(例えば律速反応活性)を決定する、 Metabolic Control Analysis (MCA) についての解説があります。具体的な応用としては、創薬における標的探索が挙げられていますが、こちらは実績となる研究例があまり具体的ではないので、これからに期待といったところでしょうか。
次回は「メタボロミクスを含めたオミクスの発達により何ができるようになったのか」という視点からの代謝フラックス解析のレビューをご紹介します。
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