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ABC's of Metabolomics

【第9回植物とメタボロミクス】植物のストレス耐性向上のためのメタボローム


バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第九弾です。今回から新しいシリーズです。

農作物が深刻な被害を受ける主な原因としては、乾燥、低温、塩害などがあります。これらのストレスを受けると、農作物の生産性が著しく低下し、農業的に大きな問題となっています。具体的には、砂漠化による農作地の減少、冷害による農作物の収穫量の劇的な低下などがあります。このような状況下で、モデル植物であるシロイヌナズナやイネを用いて、ストレス応答メカニズムを解明し、ストレス耐性植物を開発することは、重要な課題となっています。

これまで、DNAマイクロアレイを用いて、ストレス下で遺伝子発現がどの程度変わるかについて包括的に調べる研究がいくつかのグループで行なわれてきました。

その結果、ストレスを受けた植物体で、代謝酵素、解毒酵素、シャペロン、プロテインキナーゼ、転写因子をコードする多くの遺伝子の発現変動が見られました。

実際にストレス下で発現が誘導された遺伝子に着目し、この遺伝子を過剰発現させた植物を作製すると、植物体のストレス耐性能が上昇したという報告も多く見られています。

このように遺伝子発現解析(トランスクリプトーム)を用いて、ストレス耐性植物の開発をするという手法は、一定の成果を上げることができました。

それでは、同じような戦略でメタボローム解析を利用することができるのでしょうか?トランスクリプトームとメタボロームのどちらを用いたほうが、植物のストレス向上についての有用な情報を得られるでしょうか?両方用いる方がよいのでしょうか?

次回からの植物メタブローグでは、上記に定義された問題に着目しつつ、植物のストレス耐性向上のメタボロームについて書いていこうと思います。

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メタボロ太郎なう

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