«

»

ABC's of Metabolomics

Metabolomics 2008 – バイオインフォマティクスレポート


HMTの研究開発部門、バイオインフォマティクスグループの篠田です。

9月2日から6日までボストンで行われたMetabolomics 2008に参加して参りました。ブースにお越しくださった皆様、ありがとうございます。

社長に引き続き、バイオインフォマティクスの視点からMetabolomics 2008をレポートしたいとおもいます。


HMTでは、CE-MSをもちいたメタボローム解析サービスをご提供していますが、多くのメタボロミクス・ベンチャーが標的代謝物質を絞り込んだ「ターゲティッド・メタボロミクス」の発表を行うなかで、中間代謝物質のカバー率など、網羅性の点でCE-MSは技術的優位があるな、と感じました。

しかし、LC-MS、GC-MS、NMRを組み合わせて測定の網羅性を高めている大学グループも多く、組み合わせればCE-MS単体では負けることから、カバー率だけにとどまらず、測定後のパスウェイ解析、数理解析へのフローを意識した研究開発の重要性を痛感しました。

幸いパスウェイ解析については、弊社の大橋が発表した大腸菌のパスウェイマップ(*1)が学会最大級であり、社内にはパスウェイマッピング用のツール開発やノウハウの蓄積が進んでいることから、今後はCE-MSの魅力をExcelファイル上だけでなく、パスウェイマップ上でもお客様に知っていただく機会が増えると思います。

データの数理解析については、測定技術の向上によりパスウェイ上を網羅する大量のデータを得て、他のオミクスで応用が進んだ大規模データからの制御関係の予測、さらにはFBA等による代謝状態の特定も再度おもしろくなってきたな、と感じました。

代謝は熱力学的および量論的な制約を強く受けますから、MSで得られる代謝物質の定量データと組み合わせれば、より妥当な予測が得られます。実際、米国の有力グループのコラボレーションの声も聞こえてきていましたので、我々としてもCE-MSデータの果実から生物学的知見のジュースを搾れるだけ搾り取る、という気持ちで、数理解析の基盤も早急に整備していきたいと思います。

(*1) Ohashi et al., Mol Biosyst. 2008, 135-47. [PubMed]

その他のレポートはこちらから
発表の傾向
国別発表数と入場者数
社長レポート
バイオマーカーメディカルレポート

«

»

メタボロ太郎なう

Photos on flickr