こんにちは、B&Mの大賀です。いまアツいメタボローム解析とは?第一弾、代謝フラックス解析のレビュー3報目のご紹介です。
3報目は、微生物の醗酵育種にフォーカスして、特に解析理論が詳しく説明されている最新のレビューです。
代謝フラックスモデルを構築するアプローチとして、これまで紹介してきた代謝制御解析(Metabolic Control Analysis; MCA)代謝流速解析(Metabolic Flux Analysis; MFA)とは別に、実験データを必要としない流速均衡解析(Flux Balance Analysis; FBA)があり、このレビューではそれぞれの概要と実例がまとめられています(これらの手法については、後日あらためて詳しく取り上げます)。
MCAMFA, FBAを用いて構築した代謝経路のモデルに同位体追跡測定のデータを加えることで、栄養源として与えられた代謝分子の資化経路とその効率が算出できます。例えば発酵による生産では、栄養源として与えた分子うちの可能な限り大きい割合が目的生産物に変換されるように条件を整えれば、それだけ大きな利益につながります。
このレビューではその成功例として、アミノ酸のリシン、有機酸のコハク酸、そして還元エネルギー依存的なバイオマス生産に関する研究成果がまとめられています。
従来は、遺伝子突然変異によるランダムスクリーニングでの菌株の選抜、そしてその培養条件スクリーニングが結局は最も効率がよい戦略だったようですが、よりよい生産菌の代謝フラックスを理解することで、理論的に最適代謝をデザインできるようになる、という夢の技術の実現例と言えます。このレビューではフラックス解析の他、アミノ酸コドンの最適化による組み換え蛋白質の生産改良についての解説があるので、微生物を使った醗酵生産全般について知るにも有用な1報だと思います。
次回は、この分野で最近発表された論文のうち、特にインパクトがあるものを紹介します。
まだまだ残暑、というより真夏日の暑さが続きますが、それに負けないくらいの暑苦、もといホットな話題をご期待ください。それとは別に、ヌル~い近況報告の方も引き続きありますので、そちらでは多少なりとも涼んでいってくださいね。
[meta func=”plain” name=”journal1_post” alt=””] [meta func=”plain” name=”volume1_post” alt=””] [meta func=”plain” name=”page1_post” alt=””], [meta func=”plain” name=”year1_post” alt=””]
≪[meta func=”url” name=”pmid1_post” alt=”PubMed”]≫