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その他

日本ではついぞ見たことがない聴衆の笑顔に出会った話


大橋由明のオーストラリア紀行の第3回です。今回はシドニー工科大学で講演を行ったお話です。

当日はアジレントテクノロジーのビジェイさんが朝8時にホテルのロビーで出迎えてくれました。メキシコ風?の立派なヒゲが素敵な方で、とにかく紳士。とても親切で、「ドクター・オーハシサン!荷物が重いだろう。オレが持つよ」とか、「ドクター・オーハシサン、コーヒー飲みたいだろう。持ってくるよ」とか、本当に恐縮してしまいましたが、「恐縮です」を英語でどう表現するのかわからず、サンキューを連発するしかありません。

ワークショップの会場は意外にこじんまりした教室で、40人くらいでいっぱいになる感じです。でも最終的には席は全部埋まっていたので、飛び入り参加の人も多かったのかもしれません。

シドニー工科大学(UTS)はまさにダウンタウンにキャンパスがあり、とにかく高層ビルがたくさん立っています。オーストラリアで一、二を争う世界的に知られた優秀な大学です。大橋はここで午前と午後一回ずつ45分間の講演を行いました。

やはり最初が肝心ということで、ひとつ策を練りました。日本の大学、とくに私立大学は名前が覚えづらいということもあり、なかなか海外の人に認識してもらえません。そこで、HMTの母体である慶應義塾大学を覚えてもらうために、一万円札を用意し、手に持ちながら

「これは日本の最高額紙幣です。こちらで言えば100ドル紙幣です。皆さんはこれにユキチ・フクザワという紳士のポートレートを見ることができます。このユキチ・フクザワこそがケイオーダイガクの創設者で、日本でも最も古いダイガクのひとつです。ここからHMTは生まれました」

と説明しました。おそらくどの国でも最高額紙幣の「顔」になっている人物はエライという共通認識はあるだろうし、世界でも圧倒的な歴史を誇る日本で最も古いダイガクのひとつであれば、それは当然スゴイと認識してもらえると思ったからです。

そうすると、みんな神妙な面持ちで「うんうん、なるほど、スゴイねー」と頷いています。理解してもらえたようです:)

そこですっかり気をよくした大橋は、ひとつ冗談を話しました。

「ですから、ケイオーダイガクの関係者は、この最高額紙幣をワン・フクザワー、トゥー・フクザワーズ、スリー・フクザワーズと数えます」

そうしたら、一瞬の間があってから会場は大爆笑となりました。よくわかりませんが、相当ツボにはまったようです。

おかげですっかりこちらの調子が狂ってしまい、次に何を説明するのか忘れてしばらく頭の中が真っ白になってしまいました。うーん、慣れないことはするものではありませんね。

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メタボロ太郎なう

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