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ABC's of Metabolomics

アレルギー反応に特徴的な代謝


こんにちは、バイオメディカルグループの大賀です。今年はお花見には行かれましたか?こちら鶴岡はこの週末が桜の見頃だそうです。お天気の方が少し心配ですが、チャンスがあれば、私もお花見を楽しみたいと思っています。

昨今、さて、桜以外の春の植物、いえば何が思い浮かびますか?ここで「スギ」と答えられた方は...きっと、花粉症に悩まされている方でしょうね。私も近年はそれほどではありませんが、ひどい年にはゴミ箱がティッシュで溢れてしまいます。

花粉症は、体内免疫系の過剰反応によって引き起こされる、アレルギー疾患の一つです。アレルギー反応の主役は、抗原・抗体といったタンパク質や白血球などの細胞ですが、代謝低分子の中にも重要な役割を持つものがあります。

例えば、ヒスタミン・セロトニンといったアミノ酸誘導体や脂肪酸の一部は、特にI型と呼ばれるアレルギー反応において細胞から放出されます。体の一部で接触したアレルギー物質のせいで全身性の反応が起こるのは、こういった低分子が血流を通して全身に広がるから、ということも大きな理由になります。そして、そこにはもちろん、メタボロームの視点からアレルギー反応を理解しよう!と挑戦する研究者も出てくる訳です。

残念ながら花粉症に関するメタボローム研究はフォローできていませんが、同じI型のアレルギー性喘息に関する成果が幾つか報告されています。

例えば、2007年には小児の呼気をNMRで測定することで、アレルギー性喘息の児童に特徴的なパターンが得られたそうです。またモルモットによるモデル実験では、既知の炎症物質の他に、感作群に特徴的な尿中物質を多数検出しています。

一方、上記のプロファイリング試験とは異なり、既知のメカニズムの理解を深める目的で、メタボロミクスが活用された例もあります。

幾つかのアレルギー反応では、血管拡張作用がある一酸化窒素(NO)が関与していますが、このNOは細胞内でアミノ酸のアルギニンから作られます。一昨年発表された研究では、喘息患者の唾液メタボロミクスから、重症患者の一部に特徴的なアルギニン代謝が見えたとのことです。

正直なところ、この分野ではまだメタボロミクスからインパクトある成果が出ている印象が弱いのですが、研究数そのものが少ないことが一つの原因かもしれません。実際、関連文献を見つけられたのは3年前からですし、他の疾患分野と比較しても文献数は圧倒的に少ないようです。過剰な期待は禁物ですが、今後少しずつでも実績が作られることで、メタボロミクスの視点が浸透することを願いたいものです。

今年は例年に比べて花粉の量が少ないそうですが、花粉の量が増えてくるこれからの季節は備えを怠ってはなりません。同志諸君、がんばって乗り切りましょう!

[1] Carraro S, Rezzi S, Reniero F, Héberger K, Giordano G, Zanconato S, Guillou C, Baraldi E.
Metabolomics applied to exhaled breath condensate in childhood asthma.
Am J Respir Crit Care Med. 175(10) 986-90, 2007
PubMed

[2] Saude EJ, Obiefuna IP, Somorjai RL, Ajamian F, Skappak C, Ahmad T, Dolenko BK, Sykes BD, Moqbel R, Adamko DJ.
Metabolomic biomarkers in a model of asthma exacerbation: urine nuclear magnetic resonance.
Am J Respir Crit Care Med. 179(1) 25-34, 2009
PubMed

[3] Lara A, Khatri SB, Wang Z, Comhair SA, Xu W, Dweik RA, Bodine M, Levison BS, Hammel J, Bleecker E, Busse W, Calhoun WJ, Castro M, Chung KF, Curran-Everett D, Gaston B, Israel E, Jarjour N, Moore W, Peters SP, Teague WG, Wenzel S, Hazen SL, Erzurum SC; National Heart, Lung, and Blood Institute's Severe Asthma Research Program.
Alterations of the arginine metabolome in asthma.
Am J Respir Crit Care Med. 178(7) 673-81, 2008
PubMed

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メタボロ太郎なう

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