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ABC's of Metabolomics

絶食後の代謝変化


こんにちは、HMTの大賀拓史です。こちら鶴岡は、お休みのあいだ良い天気に恵まれていました。

日曜日で大型連休も終わり、今日からはまたバリバリお仕事を、という方もたくさんいらっしゃるでしょうか。一方で、体も心もすっかり「お休みモード」になってしまい、なんだか仕事に戻れない...なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。

いくら頭では必要だと分かっていても、いきなり全力でというのは、ちょっとしんどいものです。まずは準備体操がてら、ちょっとした作業で気持ちを切り替えたりするのも良いかもしれませんね。

HMTでは上手い具合に、今日はお仕事の前に、定期の社内清掃がありました。休みボケの頭を回し始めるには、ちょうど良い作業量だったようです。

「作業量」を意味する「load」という単語ですが、実験では「負荷」という表現で使われたりします。ある一定の状態に、外部から刺激やストレス、つまり負荷を与えて、それに対する応答を見る、という実験はよく行われますよね。

2つの (あるいは複数の) 状態間で起こる変化を調べると、それぞれの状態の観察だけからは分からない現象が見えてくることもあります。こういったアプローチはもちろん、代謝の状態を知る上でも、有効な方法として使われています。

最近発表された論文では、絶食した後の被験者に糖 (グルコース) が投与され、その後の代謝変化がメタボロミクスで調べられました。

絶食するとエネルギー源の糖がなくなってしまうので、体内の代謝は脂質やアミノ酸をエネルギー源にするような状態になっています。そこに、エネルギー源となる糖を大量に供給することで、今まで保たれていた代謝状態がどのような応答をするか、という点が注目されました。

実験の結果、糖を摂取した直後から、血中の代謝プロファイルが大きく変化する様子が、経時的に観察されました。

変化があった代謝分子の中には、糖代謝に関わるものだけでなく、アミノ酸や脂質の代謝に関するものも多く含まれており、糖摂取後の広範にわたる代謝変化が考察されています。また、そのような代謝変化を健康な人と糖尿病患者で比較し、代謝低分子の変化値と血中インスリン (糖の代謝を制御するホルモンペプチド) 量の相関を調べることも行われました。

単に健康な状態と病気の状態を比較するのではなく、それぞれの状態からの応答を調べることで、対象によっては単純な状態間の比較よりもはっきりとした、また生物学的な解釈が可能な結果を得ることが出来るかもしれません。

負荷実験のメタボロミクスはこれまでにも動物モデルで行われていましたが、人を対象とした実験という点で、特に今回は興味深い成果でした。

また、今回の結果では上記のようなエネルギー代謝の変化以外に、幾つかの胆汁酸の血中レベルの上昇が確認されています。胆汁酸は脂質の代謝に関与することから、変化があるのは妥当な結果のようにも思えますが、その変化がどういう意味を持つのか、といったことは確認できなかったそうです。ある一定の刺激にたいする応答の中には、まだまだ明らかになっていない現象が潜んでいることを感じさせられます。

そういえば、私自身もこの連休の後、普段は気にしていなかったことを幾つか発見することが出来ました。たとえば、お隣の同僚の意外な趣味だったり、あるいは、長らく放っておいたオートクレーブの中だとか...中には余計なものもありますが、ちょっとした発見で新鮮な気持ちになれれば、季節病の予防にもよさそうです。

[1] Metabolic profiling of the human response to a glucose challenge reveals distinct axes of insulin sensitivity
Shaham O, Wei R, Wang TJ, Ricciardi C, Lewis GD, Vasan RS, Carr SA, Thadhani R, Gerszten RE, Mootha VK Mol Syst Biol. 2008;4:214.
[PubMed]

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メタボロ太郎なう

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