気候はまだ涼しいボストンが、先週は2012 BIO International Conventionで世界のホットスポットとなりました。
世界最大のバイオイベントですので、ボストンは市をあげて取り組み、BIO関係者ばかりではなく、多くの市、州の政治家なども参加していました。みな揃って「バイオ都市にようこそ」を連呼していました。確かに昔のボストン=MITから、今はボストン=バイオのイメージが強くなったと思います。
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黄色い部分がパートナリングスペース
パートナリングシステムもよくできていて、お金をある程度支払わないと使えないために、本気の組織、会社が選ばれる仕組みになっていました。どこか、日本の婚活パーティーに似ているところがあります。
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ずらりと並ぶパートナリングブース
参加者は現役研究者は少なく、多くはいわゆる事業開発という肩書きの人やコンサルタントで、分刻みのスケジュールをこなし多くの人と接触していました。お蔭で、多くのメガファーマやバイオテック会社とのパートナリングのきっかけができました。
メガファーマは夜もパートナーやその候補の囲い込みをしていて、毎晩どこかの会社主催のパーティーが開催されていました。我々はR社のパーティーに参加しただけでしたが、人によってはテーブルをうまく立ち回って媚を売っているNo. 1ホステスのように、パーティー会場を渡り歩いていたようです。
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JAPANパビリオン
今回HMTは14社が参加したJETRO推進のJAPANパピリオンに出品させてもらい、他のバイオベンチャーの方々と日本をアピールしてきました。
BIO 2012全体では、メタボロミクスだけではなくオミクスという言葉はほとんど見つけることができませんでした。オミクスは手段であり、そこから発見されたターゲットや代謝メカニズムに焦点があるので、ここではツールや基礎技術は必要ではなく、創薬ターゲットやバイオマーカの売り込みが主でした。したがって分析機器メーカや試薬、器具メーカの出展がないために商品展示はなく、パネルやディスプレイがほとんどです。
また、ヨーロッパ諸国の出展が目立ち、財政問題を起こして話題となっているスペイン、イタリアが日本よりも大きなスペースを確保していることが印象的でした。
講演での「はやり言葉」は、INNOVATION、TRANSFORMATIONなどの変革をイメージさせる言葉と、PARTNERING、COLLABORATIONなどの協調をイメージさせる言葉、そして個別化医療(コンパニオン診断)、がん関連でした。
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抽選の景品のくどき上手
今後製薬を中心としたバイオでは、創薬の加速には買収、提携、協調などのパートナリングが進むことは間違いありません。まさにオープンイノベーションです。HMTもより価値を高めて、提携や協調が進められるようにスキルセットチェンジが求められているように感じています。また、製薬会社にとってのメタボロミクスの価値は個別化医療(コンパニオン診断マーカー)であると再確認しました。
バイオスポットのボストンにいると、将来ボストンから鶴岡への直行便を飛ばすという夢も遠くないと思いました。そのためにはCE-MSメタボロミクスをバイオマーカ探索のデファクトスタンダードにすることだと確信し、うきうき気分で帰路につきました。