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ABC's of Metabolomics

[第1回:マルチオミクス] ポストゲノムと次世代シーケンサー(前編)


バイオメディカルグループの篠田です。今回は、ゲノミクス、話題の次世代シーケンサーについてです。

次世代シーケンサの開発競争は激しく、ロシュの454、イルミナ社のGenome Analyzer、アプライド社のSOLiDなどが競っており、最新の情報に追いつくだけでも大変なように感じます。シーケンスやPCRの原理も各社で異なります。

しかし、基本となる「コンセプト」は、とても似通っています。

メタブローグの読者の皆様は、いわゆる「サンガー法」のシーケンシングの経験がある方が多いと思います。次世代シーケンサ以前のシーケンシング法は、多かれ少なかれこのサンガー法を基礎にしています。ヒトゲノム計画の際も用いられた、ショットガン・サンガー法では、

(1)DNAを断片化し、
(2)大腸菌にクローニングし、遺伝的均一なコロニーを得ます。
(3)コロニーから単離したプラスミドDNAを、それぞれの塩基に対応する位置で合成が止まるPCR反応系を使うことで、塩基特異的なDNA断片を得、
(4)キャピラリー電気泳動を用いて断片を分離し、配列を読みます。
(私が説明するまでも無いかもしれません)

このサンガー法の次世代化・超ハイスループット化を阻んでいる、律速段階はどこでしょうか?

それは間違いなく、大腸菌にクローニングし、コロニーを得るステップです。DNAを1塩基づつ合成するステップは、古典的サンガー法の合成からPCRに変わり、格段に効率化しました。配列を分離し読むステップも、巨大ゲルからキャピラリー電気泳動に変わり並列化(96~384本)が容易になり、蛍光を用いることで1つの検出系で効率よく検出できるようになりました。しかし、大腸菌を用いてシーケンシング・ライブラリを作成し、増幅させるステップだけが、サンガー法の誕生以来、大きな改善ができていない、ボトルネックだったのです。

さて、次世代シーケンサーは、どのようにこの課題を克服したのでしょうか?共通する「コンセプト」とは??それは逆転の発想とポスト・ゲノム時代の到来でした。この続きはポストゲノムと次世代シーケンサー(後編)

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