バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第三弾です。
前回のブログでは、無機窒素化合物を有機窒素化合物に変換する代謝経路中の1つの反応を担う酵素を過剰発現しても、植物中の有機窒素含量を増加させることができないことを説明しました。今回のブログでは、それでは一体どうすればいいのだろうかということについて何かしら示唆ができればと思っています。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第二弾です。今回からしばらくは植物の生産性を向上させるためにメタボローム解析はどう生かせるかについてお話をしたいと思います。
ヒトは生存に必要な栄養素は主に食品から摂取しています。炭素源としては糖を、窒素源として主にタンパク質およびアミノ酸を摂取しています。ヒト体内で他の代謝物から生合成できないアミノ酸は、必須アミノ酸と言われ、栄養素として摂取しなければなりません。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。これから1年間、植物メタボロームの紹介をしていきますので、よろしくお願いします。
ヒトでは、遺伝子数が約22000あるのに対して、代謝物質の数は約3000で、遺伝子と比べて対象とする数が少ないため、細胞内事象を理解するための解析がしやすいことがメタボローム研究の利点の1つと考えられています。
植物メタボロームでは、逆に代謝物質が約20万種類近くあると推定され、多様性に富んでいることが特徴の1つであると考えられています。…
こんにちは、バイオメディカルグループの大賀です。
近頃、鶴岡の天気はかなり不安定です。雨の日が多く、ようやく晴れたと思いきや突然のゲリラ豪雨にがっかりさせられることも。天気に気分が左右される単純な者としては、からっと晴れてくれるとテンションも一気に上がります。本格的に雪が降りだす前に、一日でも多く、青空が見られるといいのですが…
さて、青くてテンションが上がる話題は天気だけではありません。こちらのニュース(サントリー社ウェブサイト”世界初!バイオテクノロジーで「青いバラ」の開発に成功!”)にも、私、かなり興奮しております。…
今年入社した分析グループの藤森玉輝です。
博士研究員の時は、DNAマイクロアレイやアジレント社のCE-MSを使って植物の一次代謝の研究をしていました。植物のメタボロミクスの研究成果は、生産性の高い農作物の作製、薬学的に有用な物質の生産、環境浄化など非常に重要かつ多様な分野に生かすことができる可能性を秘めており、大変興味深いです。
これからは植物の代謝物に関する様々な研究を紹介していく予定にしていますのでよろしくお願いします。
生命現象を理解するためにはメタボロミクスが重要であることは当然ですが、さらにトランスクリプトミクスと組み合わせることで、理解をより深めることができます。
しかしながら、統合オミクスの力を最大限に発揮した研究例はまだ少なく、現状ではトランスクリプトミクスとメタボロミクスをして考察する論文が標準的です。これは、統合オミクスを駆使してエレガントな研究を行う方法がまだ確立されていないからです。
統合オミクスの研究方法については今後も考え続けていかなければいけませんが、まず統合オミクスとして成功した論文を読んで学ぶのが誰にでもできる一番簡単な道です。そこで、今回は4年前の論文になりますが、理化学研究所植物センターのグループがモデル植物であるシロイヌナズナで統合オミクスをエレガントに使った研究を紹介したいと思います。…
こんにちは、HMTの大賀拓史です
昨日は節分でしたね。もう、2月ですか...あえてもう一つの2月の行事には触れませんが、毎年この季節になると、お店の広告がカレンダーに代わって時の流れの早さを教えてくれます。
そういえば、私自身は最近、「豆まき」を全くやらなくなってしまいました。豆まきのやり方は地域や時代によって異なるかと思いますが、私が子供の時は、炒った大豆を部屋中にばら撒いて「年の数+1粒」を食べる、というスタイルでした。後で掃除の苦労が待っていることを知ってはいても、そこは自制心より勢いが勝る幼少期の自分。結局、それから数日間、年の数よりもはるかにたくさんのお豆がおやつになったことを覚えています。
その当時は全く意識していませんでしたが、最近はこの大豆に含まれている「イソフラボン」が大いに注目されていますね。…
こんにちわ HMTの大賀です
気がつけば、今年も残りは2ヶ月余りですね。最近は日暮れが早くなり、吹く風にも、涼しさより冷たさを感じます。先日、鶴岡市の東にある「羽黒山」に行ってきたのですが、どうやら木々も衣替えをはじめているようでした。
植物を鮮やかに見せているものが、色素とよばれる”代謝分子”であることはご存知でしょうか?私たちがいつも目にする緑色は、クロロフィル (葉緑素) という、赤色の光を吸収する分子がその原因になっています。クロロフィルにもいくつか種類がありますが、その中には植物の光合成に必要なものがあり、そのため春や夏など、特に植物の生育が盛んな時期に多く作られます。とても重要なクロロフィルですが、比較的大きな分子なので、一般的なメタボロミクスではあまり対象はならないかもしれません。
一方、秋に見る紅葉の色は「アントシアニン」や「カロテノイド」と呼ばれる、比較的小さな代謝分子が原因です。アントシアニンもカロテノイドもたくさん種類があり、それぞれが生体内での役割を持っている、と考えられています。そしてその中には、私たちヒトを含めた動物にとっても重要なものがたくさん含まれています。例えば、アントシアニンは抗酸化作用を持つフラボノイドの一種ですし、カロテノイドは吸収されてビタミンAになります。植物を彩るだけではなく、私たちの健康にも役立つこれらの分子は、メタボロミクスでも重要なターゲットになります。…
理化学研究所植物科学センターメタボローム基盤研究グループの及川彰研究員にお話を聞きました。及川さんの専門は生物有機化学で、2年前から鶴岡メタボロームキャンパスでCE-TOF MSを使って研究をされています。…