バイオインフォマティクスグループの篠田です。学会のレポートをします。
HMTは昨年に引き続きスポンサーブースを出したのですが、隣にはアルバータ大のグループが立ち上げたPANAMPという受託分析の会社がブースを出すなど、裾野の広がりを感じました。
注目した発表は、デューク大学のグループのもので、うつ病患者を、SSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害剤)が有効なグループと無効なグループにわけ、有効か無効かを事前に見分けるバイオマーカーを探索する研究です。アミノ酸のグリシンとセリンに特に顕著な差が見えており非常に興味深かったです。しかし、「逆にグリシンが高値群と低値群に分けた場合、患者に臨床的特徴は見られるのか?」と質問したところ、それは解析途中との返答でした。
このように、特異度、感度、ROC下面積などのパラメータではすばらしいマーカー候補が複数見つかっているものの、「マーカー候補のその後」には、どのグループも苦心惨憺しているようです。
その中で、手前味噌ではありますが、HMTの大賀の口頭発表(”The anatomical metabolomics of hyperlipidemia”)は、薬剤惹起性の酸化ストレスマーカ、および、脂質プロファイルの変化を、パスウェイをもとに深く考察しており、頭ひとつ出ている印象でした。
メタボロミクスのさらなる成熟には、「マーカー候補のその後」に習熟したバイオロジストの流入が不可欠です。メタブローグ読者の皆様のご参加をお待ちしています。
Metabolomics 2010は、6月27日から7月1日まで、オランダ・アムステルダムで開催されます。see you in AMSTERDAM!
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