2023年11月開催 オンサイトセミナー
「皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」

セミナー概要

近年注目を集める「皮膚ガス」の研究に関するオンサイトセミナーを開催いたします。
本セミナーでは、皮膚ガス研究のパイオニアである東海大学関根教授をはじめ、研究開発の最前線を行く企業様にも登壇いただき、皮膚ガス研究の最新情報について、実例を交えてご紹介いただきます。

「皮膚ガスセミナー ~研究開発の最前線~」

主催:皮膚ガス研究会(代表:東海大学理学部化学科教授 関根嘉香先生)

登壇予定(講演予定順、題名をクリックすると要旨・講演者情報を見ることができます)

基調講演「皮膚ガスを情報として活用する」
 東海大学 理学部化学科 教授 関根 嘉香 先生

【要旨】
ヒト皮膚から放散する微量な生体ガスは「皮膚ガス」と呼ばれ、体臭の原因となる。一方、近年の分析技術の進歩によって皮膚ガスの実態が明らかとなり、その種類・放散量はヒトの身体的・生理的状態、疾病の有無、生活環境や生活行為に関連することがわかってきた。皮膚ガスは、体表面から連続的かつ自律的に取得できる生体信号であり、様々な分野で産業利用に関する検討が進んでいる。今回のセミナーでは、皮膚ガス研究に取り組む企業・研究機関より最新の情報を発信していただき、これらを共有してさらなる創発に繋げることを意図するものである。本基調講演では、皮膚ガス情報を「体と心のメッセージ」として活用することの有用性を述べる。

【講演者情報】
博士(理学) 1966年東京都出身。慶應義塾大学理工学部卒、慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、日立化成工業株式会社に勤務、2000年より東海大学理学部化学科に在籍し、現在・教授。また、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科非常勤講師、神奈川県立保健福祉大学非常勤講師、東海大学先進生命科学研究所員を兼務。一般社団法人室内環境学会・元理事長、日本臨床環境医学会・理事。 これまで、アジアの大気環境、シックハウス症候群の予防・改善、皮膚ガス分析に関する研究に従事。日本テレビ「世界一受けたい授業」、「カズレーザーと学ぶ。」、NHK「あさイチ」などテレビ出演などを通じて、広く「皮膚ガス」を紹介。 主な編・著書「室内環境の事典」(朝倉書店)、「品質管理の統計学」(オーム社)、「Human Insecurity in Asia」(United Nations University Press)など多数。

「客観指標を用いた高ストレス者の早期把握 ~皮膚ガスによるストレス蓄積予兆検知~」
 株式会社アイシン 先進開発部 山口 秀明 様

【要旨】
うつ病など精神障害に係る労災認定数は年々増加しており、企業におけるメンタルヘルス対策は今後さらに重要になると考えられます。すでに多くの企業がメンタルヘルス対策に取り組んでいますが、精神障害への罹患者の増加を抑えるためには、メンタル不調の発生や重症化リスクの高まりを早期に、客観的に把握できる新たな技術が必要であると考えています。我々は手掌拇指から放散する皮膚ガスを用いて作成した代謝活動指標と血管運動指標を軸とする心身状態判定二次元マップにてストレス蓄積の予兆(リスク)を捉える手法を考案しました。本セミナーでは考案手法、およびメンタルヘルス対策への活用に向けた取組み(考え)について報告します。

【講演者情報】
健康科学アドバイザー(日本体力医学会)
1999 年 九州工業大学 情報工学部 機械システム工学科 卒業
1999 年 アイシン精機株式会社(現 株式会社アイシン) 入社
2000 年 株式会社アイシン・コスモス研究所(現 株式会社イムラ) 出向
2013 年 帰任 基礎技術開発部/先進技術開発部
2020 年 先進開発部
現在に至る

「皮膚ガスを指標とする『みどり』のストレス軽減効果等に関する調査研究
 ~データに基づき『みどり』の価値を情報発信!~」

 川崎市環境総合研究所 都市環境研究担当 鶴見 賢治 様

【要旨】
川崎市環境総合研究所は、今年度に「環境とみどり」をテーマに調査研究を行っており、その一環として東海大学理学部関根研究室と共同で「皮膚ガスを指標とした『みどり』のストレス軽減効果に関する調査研究」を実施している。
本共同研究では、本年5月に市内の公園緑地において緑地利用前と利用中におけるアンモニア、揮発性有機化合物の皮膚ガスを捕集・分析を行った。この結果、緑地利用によってアンモニアの放散フラックスは減少傾向、揮発性有機硫黄化合物(2成分)は有意に減少し、公園緑地の利用によるストレス軽減効果が示唆された。なお、本年8月に実施した街路樹緑陰による暑熱ストレス軽減の実態調査は、現在解析中である。

【講演者情報】
平成3年に川崎市役所に入庁後、約30年間、本庁で大気汚染、化学物質、環境アセスメント等の環境行政に携わり、令和4年4月に環境局環境総合研究所に異動、現在に至っています。

「リストバンド型アンモニアパッシブインジケータ CID-3Fの紹介と測定事例」
 株式会社ガステック 技術部開発1グループ 中川 脩 様

【要旨】
ヒトの皮膚から放散されるガスの一つであるアンモニアの放散量の測定は、GCMS等により行われ、比色による簡易測定法はなかった。我々は対象のガスと反応し、変色の長さから濃度を読み取る検知管の技術を応用し、アンモニアの判定量型パッシブ型インジケータを開発した。アンモニアの皮膚放散フラックスは数十~数千ng/cm²/hになると報告されており、その範囲での放散フラックスで変色させることができた。腕に固定する専用ホルダバンドを使用することで簡易的に測定が可能になり色見本との比較でどの程度アンモニアが皮膚から放散されているのか可能になった。皮膚ガス用アンモニアパッシブインジケータは非侵襲的に測定が可能であり、分析機器を必要とせず誰にでも気軽に使用することができ、疲労やストレスの度合いを知るツールとして健康管理に役立つと考えている。

【講演者情報】
2011年3月 横浜国立大学大学院工学府機能発現工学専攻 修士課程修了
2011年4月 株式会社ガステック入社 技術部開発1グループ配属
現在    技術部開発1グループ担当リーダー
入社から主に検知管の設計開発業務に携わり、現在に至る

「天然食品素材から生まれた消臭素材 ‘DEOATAK®P1’ 摂取による皮膚ガス制御効果について」
 高砂香料工業株式会社 研究開発本部 大田黒 晴樹 様

【要旨】
私達の身の周りには様々な悪臭が存在しており、快適な生活を送るための障害の一つとなっています。高砂香料工業(株)では「ごく身近な食品素材の活用により、種々の悪臭を強力に消臭できる、安心・安全な消臭素材」をコンセプトに消臭素材DEOATAK®P1を開発しています。本素材は天然由来のポリフェノールとポリフェノール酸化酵素で構成され硫黄系・窒素系悪臭成分に対して優れた消臭効果を示します。弊社ではこれまでに本素材摂取による口臭抑制効果や便臭抑制効果について検討してきました。そして現在、体臭制御効果にも期待しヒト皮膚ガスにもたらす影響を検証しています。本セミナーではこれまでの取り組みについてご紹介させていただきます。

【講演者情報】
・2013年3月 大阪大学大学院工学研究科 修士課程 修了
・2013年4月 高砂香料工業株式会社 入社 
 現部署配属後、香料・食品素材の開発研究に従事

「腸内環境の改善と皮膚ガスの変化 ~ラクチュロースの摂取が皮膚ガスに及ぼす影響~」
 森永乳業株式会社 研究本部 素材応用研究所 バイオプロセス研究室 境 洋平 様

【要旨】
森永乳業では、健康をおなかから支えるべく、腸内細菌の研究に精力的に取り組んでいます。ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌のエサとなることで健康に寄与する物質はプレバイオティクスと呼ばれ、乳に含まれる乳糖を原料に作られる難消化性オリゴ糖のラクチュロースはプレバイオティクスの一種です。腸内環境は血中成分に影響することが知られており、また血中成分は皮膚ガスに影響することが知られています。今回、東海大学関根研究室と一緒に取り組んだ研究で、4gのラクチュロースを2週間摂取すると、腸内のビフィズス菌を増やすと同時に、皮膚ガス中のアンモニアが減少し、また甘い芳香を有するラクトン類が増加することを観察しました。

【講演者情報】
2005年4月 森永乳業株式会社入社。東京工場製造部に配属。
2010年3月 森永乳業株式会社 食品基盤研究所 食品技術研究部(現 研究本部 素材応用研究所 バイオプロセス研究室)に異動し、チーズを題材にしたフードメタボロミクス研究、乳タンパク質ペプチドの機能研究に従事したのち、サプリメントの開発を担当。
2015年3月からラクチュロースの製造管理と機能研究に従事。
2023年4月からラクチュロースの製造管理と並行してサプリメント開発の統括を担当。

「女性の月経周期および月経前症候群と関連する皮膚ガスの同定」
 キリンホールディングス株式会社 キリン中央研究所 藤井 敏雄 様

【要旨】
月経は初潮から閉経までの女性に見られる生理現象であり、女性のQOLに大きな影響を与えている。本研究では放散量が月経周期に依存する皮膚ガスを探索した。また月経前の3~10日の間に続く精神的、身体的な症状である月経前症候群(PMS)の重症度と関連する皮膚ガスを探索した。20代前半の女性14名を対象とした試験を実施し、月経期、排卵前期、黄体中期、黄体後期に皮膚ガスおよび女性ホルモン濃度を測定した。PMS重症度診断にはmodified MDQを用いた。その結果、月経周期依存的に放散量が変化し、血中女性ホルモン濃度との相関のある皮膚ガスが複数同定された。またPMS重症度と関連する皮膚ガス成分も同定された。

【講演者情報】
キリンホールディングス株式会社
キリン中央研究所
※共同研究者:松浦希実、森田悠治、森本恵子

 
※予告なく変更する場合がございます。

 

日程・参加費用

日程
2023年 11月 17日(金)13:30~17:00
定員
先着順 100 → 130 名(事前に申し込みが必要です)
参加費用
無料
会場
銀座ユニーク貸会議室 7丁目店 N201

会場アクセス

会場 銀座ユニーク貸会議室 7丁目店 N201
住所 東京都中央区銀座7-13-15 2階
アクセス
  • 新橋駅 徒歩7分(JR線[銀座口]・都営浅草線[A1出口]・東京メトロ銀座駅[1番出口])
  • 銀座駅 徒歩5分(銀座線・丸の内線・日比谷線[A3出口])
  • 東銀座駅 徒歩5分(都営浅草線・日比谷線[A1出口])
  • 築地市場駅 徒歩6分(都営大江戸線[A3出口])

お申込み

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■HMTセミナー窓口(皮膚ガスセミナー事務局)
hmt_seminar [ @ ] humanmetabolome.com