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HMT主催セミナー「急激に進化する メタボローム 解析の威力」を 開催しました

HMTの井元淳です。現在はトキシコロジー学会出展のため盛岡に来ています。東京よりは涼しいです。

レポートが随分遅くなってしまったのですが、6月26日に品川イーストワンタワーでセミナー「急激に進化するメタボローム解析の威力」を開催しました。定員を上回る100名弱の皆様に参加いただき、質疑応答も活発に行われ、非常に盛り上がったセミナーとなりました。

HMTが主催してこのように大規模なセミナーを行うのは初めてのことだったので、何かと至らぬ点も多く、ご参加いただいた皆様にはご不便をおかけする点もあったかと思いますが、アンケートではほとんどのお客様に満足したと答えていただき、ほっとしています。

各先生方のお話をざっくりとまとめると、
Chris Beecher教授は、「メタボローム解析は有用だが、メチル化というコンセプトマッピングがなければ、サルコシンには行き着かなかった。多くの情報を集約することでメタボロームデータが活きてくる」
川村則行先生は、「精神疾患を分子的アプローチで解き明かすのは、困難だが可能になってきている。血中のペプチドおよび代謝物質の網羅的比較は、現実としてうつ患者と健常者を正確に分離することができている。精神疾患の分子診断は、すぐそこまで来ている」
鈴村謙一先生は、「機器の扱い方で難しい面もあるが、総合的に判断してCEの網羅性は高い。GCかLCに、CEを付け加えることで、メタボローム研究のアプローチは大幅に補完されるのではないかと感じる」
といった内容でした。

今後もこのようなアプリケーションをご紹介するセミナーを開いていきたいと思っています。今回はご都合がつかなかった皆様も、ぜひ次回ご参加いただけたら幸いです。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。…

代謝プロファイルから示されるサルコシンの前立腺がん 進行への関与 (Nature誌)の逆説的解釈(後編)

こんにちは。バイオメディカルグループの大橋です。東京は春の陽気だそうですね。

先週に引き続き「代謝プロファイルから示されるサルコシンの前立腺がん進行への関与 (Nature誌)」について、メタボロミクスの研究者として、どのようにこの論文を解釈しているかについての私見を述べてみたいと思います。

前編は[こちら]

みっつめのポイントは、組織メタボロミクスデータからサルコシンという物質への絞込みです。組織のメタボロミクスデータから変化している代謝物質を絞り込む過程は、多くの容疑者から真犯人を割り出すようにスリリングです。

使われている手法も適切ですし、permutationという数値置換群によるテストを行い、妥当性も検討しています。著者らは、まず良性腫瘍 (benign)と悪性腫瘍 (PCA)を比較し、37種のアノテーションの付いた代謝物質を抽出します。ここで、未同定ピークには目もくれないところから、生化学的合理性に主眼を置いていることが読み取れます。…

第3回メタボロームシンポジウムで発表しました

こんにちは HMTの大賀拓史です

先ごろ行われた第3回メタボロームシンポジウムについて、研究に携わる者 (まだまだヒヨッ子ですが…) としての感想をお伝えしようと思います。

シンポジウム全体の雰囲気としては、井元からの報告があった通り、会場に収まりきらないほどの参加人数で、とても活発な雰囲気でした。特に製薬や食品を中心とした企業からの研究者がたくさん参加され、積極的に意見交換されていました。また大学や公立の研究機関を中心に、医療分野からの研究者の参加も多く、実用的技術としてのメタボロミクスへの期待がヒシヒシと感じられました。慶應義塾大学を中心とした学生・若手研究員の発表も多数あり、この分野が着実に伸びつつあるという「勢い」を感じました。

個人的には特に、サーカディアンリズムに対応したメタボーム変動の解析に関する研究や、代謝フィンガープリンティングによる発生段階予測の研究など、オミクスならではの、そして世界最先端の解析アプローチを知ることができ、とても興味深かったです。…

第3回メタボロームシンポジウムに参加しました

HMTの井元淳です。やはり鶴岡はとても寒かったです。

10月30日から11月1日まで第3回メタボロームシンポジウムが山形県鶴岡市で開催されました。定員120名のところ、227名の参加があり、講堂からあふれるほどの盛況でした。今回は医薬、医療分野への応用という限定されたテーマにもかかわらず、227名もの方が参加されたということはメタボローム解析の有用性が認められてきたしるしではないでしょうか。 最近、急速に注目されてきている食品、エネルギ分野なども含めると、収集がつかないくらいの参加者になっていたのではないかと思います。

メタボロミクスに特化したシンポジウムだけあり、どの演題も大変興味深いものでした。サーカディアンリズムや植物の根からの滲出物の解析など様々な分野にメタボロミクスが応用され、確実に成果をあげてきていることを感じました。…

Metabolomics 2008 – バイオマーカーメディカルレポート

こんにちは。バイオメディカルグループの大橋です。

世界の叡智が結集するボストンで、今年のMetabolomics 2008は開催されました。2年前に続いて2度目のボストン開催ですが、今回は街の中心地、パブリックガーデンを望むバックベイエリアでの開催。お昼はおしゃれなカフェで一息つくことができます。

さて、メタボロミクスです。…

メタボロミクスの世界標準

こんにちは HMTの大賀です

Metabolomics 2008のレポートが届いていますね。私自身は残念ながら参加していないのですが、内容を伝え聞くだけでも勉強になります。

ところで、Metabolomics 2008を主催している Metabolomics Society は、メタボローム分野における主要コミュニティの一つですが、その目標の一つに、メタボロミクスの「世界標準」を決める、ということがあるそうです。…

Metabolomics 2008 – バイオインフォマティクスレポート

HMTの研究開発部門、バイオインフォマティクスグループの篠田です。

9月2日から6日までボストンで行われたMetabolomics 2008に参加して参りました。ブースにお越しくださった皆様、ありがとうございます。

社長に引き続き、バイオインフォマティクスの視点からMetabolomics 2008をレポートしたいとおもいます。…

Metabolomics 2008 – 社長レポート

こんにちは、HMTの菅野隆二です。

9月の初旬にボストンで行われたメタボロミクスソサエティの年会Metabolomics2008に参加してきました。

そこで、HMT社長としての観点からのMetabolomics 2008をレポートしたいとおもいます。…

メタボロミクスが華ひらくとき

こんにちは HMTの大賀です。

先週は鶴岡市を流れる赤川で花火大会がありました。「全国デザイン花火競技会」として毎年行われるこの花火大会、今年は夜空に 10,000 発以上の華が咲き、普段は閑静な川辺も多くの人で賑わいました。

ところで、技術や学問にも、華ひらくとき があるものです。

何をもってその時とするかは人それぞれの意見があるかと思いますが、世に広く知られるという意味で、いわゆる「メジャーな科学誌」に論文が発表されることが一つの目安になるかと思います。

メタボロミクスに関する論文も、これまでいくつかの有名な科学誌に掲載されていますが、今回はその中でも、メタボロミクスが世に広まりはじめた2000年代前半にNature Biotechnology 誌に掲載された 2 つの論文をご紹介したいと思います。…

メタボロームにも歴史あり

こんにちは HMTの大賀です。

先日、研究所がある山形県庄内地方の伝統芸能「黒川能」を拝観することができました。地域の人々の間でのみ受け継がれてきた神事能で、その歴史は450年以上にもなるそうです。

今回は屋外の、また水上舞台ということもあり、独特の雰囲気を堪能できました。公演の機会はあまり多くありませんが、もしご縁があれば多くの方にも観能してもらいたいと思います。

さて、黒川能の歴史の長さには及びませんが、メタボロームにも歴史あり、です。今回は「メタボローム」という名前 (単語) が使われはじめた時を振り返りたいと思います。…

メタボロ太郎なう

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