metabolomics

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第4回メタボロームシンポジウムに参加しました

こんにちは、分析グループの藤森玉輝です。理化学研究所植物科学の近くにある横浜市立サイエンスフロンティア高等学校で行われた第4回メタボロームシンポジウム(11月18日~19日)に参加してきました。

口頭発表は、基盤技術・分析手法で5件、インフォマティクスで5件、医療・医薬で8件、リピドミクスで4件、微生物・寄生虫で5件、植物で5件ありました。ポスター発表は、私の主観で分野を分けますと、基盤技術・分析手法で5件、インフォマティクスで9件、医療・医薬で9件、リピドミクスで3件、微生物・寄生虫で3件、植物で21件ありました。扱っている生物で区分けしますと、微生物・寄生虫が少なく、植物が多い印象を受けました。弊社では、口頭で大橋、ポスターで永嶋、山本、佐々木が発表を行いました。…

第1回慶應先端生命研CE-MSメタボロミクス研究会に参加してきました

HMTの井元淳です。先週末は代々木公園にピクニックに行ってきました。天気が良かったせいか、いつも以上に人が多かったような気がします。街中ならともかく、公園まで混み合っているなんて、東京はすごいですよね。

11月16日に山形県鶴岡市で第1回慶應先端研CE-MSメタボロミクス研究会が開催されました。研究会は定員以上の参加者が集まり、本会場に入りきれない人のために中継会場も用意されていました。HMT先導研究助成の採択者の方も参加されました。

私の印象では、最近参加した他の展示会やセミナーに比べ、製薬企業の方が多く参加していらっしゃったと思います。研究会は半日だけと短い時間でしたが、発表の内容はCE-MSメタボロミクスのオーバービューから医薬分野への応用、分析装置の開発まで多岐にわたっていました。メタボロミクスの中でもCE-MSに特化した研究会であったのに関わらず、線虫を用いた基礎的な研究から薬剤の効果まで、アプリケーションの幅広さがよく分かるラインナップとなっていたと思います。

研究会後の懇親会では、「いろんな人と話をしていたらすぐに時間が経ってしまって何も食べられなかった・・・」とおっしゃっていた助成採択者の方もいらっしゃるほど意見交換が活発に行われていました。ベースが同じCE-MSメタボロミクスであることから、話も合いますし、親近感もわくからでしょうか。

11月から12月にかけて、「研究者のためのメタボロミクス基礎と実践セミナー」を全国9か所で行います。研究者が出向いてセミナーし、セミナーの最後には個別に質問にお答えするコーナーも設けておりますので、ぜひご参加ください。詳細は[ セミナーウェブサイト ]をご覧ください。

11月18、19日の[ 第4回メタボロームシンポジウム ]では、バイオメディカルグループ大橋、バイオインフォグループ山本、分析グループ佐々木、事業開発部永嶋淳が発表を行います。…

Metabolomics 2009 – 出展レポート

エバンジェリスト(営業)の石川玄です。今回は日本の技術力を海外の研究者の皆様にも伝えるべく、メタボロミクス会議に参加してまいりました。

上空12000メートルから降り立った先。そこは一面肥沃な農業地帯が広がるアルバータ州の平原でした。そう、これからエドモントンというアルバータ州都にて、国際メタボロミクス会議が開かれるのです。エドモントンはカナダで5つめに大きい都市で、かのカナディアンロッキーの北の玄関口です。学生一人あたりの蔵書数がカナダ一という巨大な図書館を持つアルバータ大学があり、緑の多い街でした。

私は運命に導かれ今HMTという会社におり、普段は日本国内で活動していますが、国際会議は日本の技術力を広めるよいチャンスです。主に技術営業をしておりますので、会期中はブースに詰め、各国の研究者へ直接思いを伝えてきました。これまでは海外の研究者の方とのやりとりはほとんどメールでしたが、やはり直接対面での説明の方がこちらの熱意も伝わりますし、向こうの疑問点もよく伝わってきます。みなさん非常に興味を持って聞いてくださり、最新の実績や大賀・篠田の発表について、さかんに質問を受け、HMTのCE-TOF MSによる測定技術が世界でも注目されているという実感を得ました。

私は初参加ですが、HMTとしてブースを出展するのは去年に引き続き2回目です。日本からの出展で、日本と勝手が違うことも多いですが、展示会担当者のスティーブンが非常に協力的で、スムーズに進めることができました。社長レポートの写真にあるように、日本の技術力アピールのためはっぴを作成しました。エドモントンのホテルで非常に目立ち、「売ってほしい」と言われるほど好評でした。また、ベーシックプランの広告を入れたポケットティッシュも配布しました。外国のポケットティッシュはふたがついてシールで閉めておくタイプのものが主流ですので、ワンタッチで簡単に引き出すことができる日本のポケットティッシュは「Japanese Tech!」と言って興味を持ってもらえました。コーヒーのお共にと差し上げていたコアラのマーチもあっという間になくなってしまうほど気に入ってもらえたので、今回の学会ではCE-TOF MSに加え、はっぴ、ハイテクポケットティッシュ、日本の伝統的なお菓子と、日本の文化を余すところなく広めてくることができました。

あっという間の3日間が終わった後はサンフランシスコで活動を行い、帰国後も学会で興味を持ってくださった方へのメール対応、そしてまたこの原稿を書いている今、サンディエゴで営業活動を行っています。新たな出会いと成果のために、これからも太平洋を越えることが多いでしょう。そして、ユーラシア大陸の西側諸国へ、アジアにも。そこにメタボロミクスを求めている研究者がいる限り、私たちの活動は止まりません。これからもエバンジェリスト(営業)として、メタボロミクスの布教活動にいそしんでまいります。

Metabolomics2009 その他のレポート

社長レポート

バイオインフォマティクスレポート

-バイオメディカルレポート前編後編

国別発表数と発表テーマ

Metabolomics2008レポート

発表の傾向

社長レポート

バイオインフォマティクスレポート

バイオマーカーメディカルレポート

Metabolomics 2009 – バイオインフォマティクスレポート

バイオインフォマティクスグループの篠田です。学会のレポートをします。

HMTは昨年に引き続きスポンサーブースを出したのですが、隣にはアルバータ大のグループが立ち上げたPANAMPという受託分析の会社がブースを出すなど、裾野の広がりを感じました。

注目した発表は、デューク大学のグループのもので、うつ病患者を、SSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害剤)が有効なグループと無効なグループにわけ、有効か無効かを事前に見分けるバイオマーカーを探索する研究です。…

Metabolomics2009 – バイオメディカルレポート(後編)

バイオメディカルグループの大賀です。International Conference of Metabolomics Society レポートの後編です。前編はこちら

世界的なメタボロミクスの動きとしては、大規模なコホート研究が始まりつつあることを強く感じました。イギリスの Manchester大学が主導するHUSERMETプロジェクトでは、3000 人以上の検体採取を既に完了したそうです。また、カナダの Alberta 大学が主導するプロジェクトでは 50,000 人の成人を対象とした栄養学的な研究が開始されているそうです。メタボロームの個人差や日間差をきちんと把握するためには、どうしても数千・数万人規模の研究が必要になります。上記のコホート研究から得られた結果は、今後のメタボロミクス研究において重要な基礎データを提供してくれるはずです。また、 Manchester 大学のプロジェクトには複数の海外大手製薬メーカーが参加しており、メタボロミクス研究から大きな産業価値が生み出されることが期待されます。…

Metabolomics2009 – バイオメディカルレポート(前編)

バイオメディカルグループの大賀です。先日開催された International Conference of Metabolomics Society に参加してきました。出来るだけ研究者からの視点で、学会の概要と感想をお伝えしたいと思います。

今年の参加者はおよそ 300 人。多すぎない人数ということで参加者同士のコミュニケーションが取りやすく、また顔なじみの参加者同士が多いこともあってか、会場のあちこちで常に活発なディスカッションが繰り広げられていました。また、口頭発表は同時刻に1 演題だけが行われ、会場にぎっしりと並べられたイスはいつも満席でした。 (写真は開場前の、緊張感だけが漂う会場の様子です。) 今回の会期中、カナダはこの季節にしては珍しい快晴続きだったのですが、私が感じた熱気は、天気だけのせいではなかったはずです。

口頭・ポスター共に、発表数が最も多かったのはバイオマーカー探索に関する研究でした。ただし一口にバイオマーカーといっても目的は病気の診断に限らず、薬物毒性や栄養状態、あるいは「健康とされる状態の再定義」など多様で、とにかく生命の様々な側面をメタボロミクスというメガネで見つめ直そう、という大きな流れを感じることができました。

その中でも疾患バイオマーカーの研究は特に盛んで、ガンから精神疾患まで多岐に渡っていました。しかし、今回の発表内容の多くは少数被験者やモデル動物を対象とした基礎研究であり、またその結果も、統計処理で疾患群を区別できた、あるいは疾患群を区別する単一物質をマーカー候補として発見したという段階で、今後は実用化に向けてのバリデーションが求められます。一方で少数ながら、病院と提携して既に実用化を見込んだ臨床研究を進めているグループがありました。この先、広く注目されている疾患に関しては、まさに早いもの勝ちといった、熾烈なマーカー探索の競争が予想されます。

バイオマーカー探索以外では、植物メタボロミクスに関する研究の発表が多くされていました。特に、メタボロミクスによる遺伝子機能の探索 (機能ゲノミクス) は世界中で盛んに行われているようです。今回の学会ではこの分野のトップランナーとして、日本から理研の斉藤先生が招待講演をされていました。また、作物や薬物、嗜好品としての植物生産にメタボロミクスを活用する動きに関しては、欧州、東アジアから研究成果の発表がありました。

微生物分野に関しては、酵母の機能ゲノミクスに関する研究が注目されていました。一方、私が密かに期待していた醗酵や生産に関しては、残念ながらほとんど発表がありませんでした。この分野は日本のお家芸ですので、今後はぜひ、日本の研究者に世界を牽引していただきたいと思っています。

Uk Solar Power Experiment

個人的に注目した分野は、メタボロミクスによる環境調査、です。例えば、土壌調査にはミミズの、水質調査にはミジンコのメタボロミクスが行われていました。土や水の単純な成分組成とは異なり、生体の代謝に反映される成分環境という観点を持つことで、生物にとっての環境というものを定義し直すことができるようです。研究自体はまだ始まったばかりとのことですが、今後の発展と、またその他の生物を使った環境調査への広がりも期待することができます。

Metabolomics2009 – バイオメディカルレポート(後編)では初日に行った口頭発表についてお届けします。

Metabolomics2009 その他のレポート

社長レポート

バイオインフォマティクスレポート

-バイオメディカルレポート後編

出展レポート

国別発表数と発表テーマ

Metabolomics2008のレポートはこちらから

発表の傾向

社長レポート

Metabolomics 2009 社長レポート-Metabolomics2009で感じたこと

社長の菅野です。8月31日から9月2日にかけて恒例のメタボロミクスソサイティ主催の学会がカナダのエドモントンで開催されました。現地で感じたことをお伝えしますのでそのフレーバーを感じていただけたら幸いです。

参加者はカナダということもあって若干減ったようですが、メタボロミクスの拡大の勢いはすさまじく、まさに旬を迎えた技術というところでしょうか?…

お約束

こんにちは、HMTの大賀拓史です。

気付けばもう、8月も終わりですね。夏休みとは縁が切れてから随分経ちますが、この時期になると未だに何故だかもの寂しい気分になります。そのたびに昔から変わらない自分に気付かされたりもするのですが、みなさんはどうでしょう?

とはいえ、天気の方はまだまだ夏の日和が続きそうです。暑さに負けないよう、がんばりましょう。

8月30日から9月2日の4日間、国際メタボロミクス学会の第5回国際会議が、カナダのエドモントンで開催されます。昨年は参加者から話を聞くだけでしたが、今回は私自身が直接参戦することになりました。しかも、シンポジウムでは口頭発表をするチャンスをいただいています!世界にHMTの技術力を発信するとともに、メタボロミクスの最先端を吸収して、このブログなどで紹介できるようがんばってきます。HMT社員の珍道中話 (?) も含め、どうぞご期待下さい。

ところで、発表の準備を進めてはいるものの、英語での口頭発表ということもあり、なかなか完璧!といえるレベルになっていません。今更ではありますが、もう少し早くから準備を始めていればあるいは…そんなとき、ふと昔のことを思い出します。そういえば、毎年この時期を迎えるたび、片付かない宿題を前に途方に暮れていたなぁ、と。昔から変わらない自分は、こんなところにも居たようです。みなさんはどう(だった)でしょうか?…

夏のたのしみ ― ビールのメタボロミクス

こんにちは、HMT の大賀です。なんだかご無沙汰しておりました。

こちら鶴岡では、庄内名物の「だだちゃまめ」が美味しい季節になりました。見た目は普通の枝豆なのですが、一口食べるとその濃厚な味わいにびっくりですよ。お取り寄せで味わうことも出来るようですが、できれば現地で夏の景色と一緒に楽しんでいただきたいものです。

さて、枝豆といえばそのパートナーは、やっぱりビールでしょうか。いやぁ、ビールが美味しい季節になりましたね。

ご存知の方も多いかと思いますが、ビールは酵母の醗酵、つまり代謝によって生み出される飲み物です。原料のでんぷんが分解されて小さな糖が作られると、酵母はそこから化学的なエネルギーを取り出すための代謝を動かします。

その際に、酵母にとっての副産物としてエタノールが作られるのですが、人間にしてみればこれこそが大いなる恵み。ビールが発見されたのは古代エジプトという説があるそうですが、その時代の人達にはそんな原理なんて分かってなかったでしょうね。醗酵食品の多くに当てはまるのことなのですが、初めてビールを口にしたチャレンジャーは、本当に偉大です。…

Beecher教授の来鶴

こんにちは、社長の菅野です。Natureに“前立腺がんのバイオマーカとしてのサルコシンの発見”発表したミシガン大学のChris Beecher教授と6月22日から26日まで1週間を共にし、メタボロミクスの将来について、大いに、またフランクに語りあうことができました。

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多忙なスケジュールの合間に鶴岡市郊外にある出羽三山の一つの羽黒山にお参りにいってきました。そこで、我々が祈願したのは絵馬にあるように私はメタボロームビジネスの成功、Chrisさんはメタボロームの社会貢献です。さすがChrisさんはスケールが違いますね。

今回のChrisさんの日本訪問を通して感じたことは、メタボロミクスが解析技術(プラットフォーム)の議論は終焉を迎えつつあり、多くの研究者が成果を出せるような仕組み(解析装置の充実、受託の低価格化)ができてきたことです。別の言い方をすれば、メタボロミクスをバイオ研究の中にいかに早く導入出来たかが研究成果のスピードに大きく関わってくる時代になったということです。

なぜならば、メタボロミクスを導入している研究者はその前にある、他のOMICS情報は何らかの形で経験があるからです。生命現象の解明に統合OMICSは必須ですが、メタボロミクスを見ずに何かを語る努力をするよりも、メタボミクス情報を上手く活用することが研究のブレークスルーになるとおもわれるからです。数年前までは、プラットフォームの構築に時間と資金が取られて、余程のパワーを投入しないとメタボロミクスを利用することができませんでした。この点はChrisさんも同感で、話が盛り上がりました。

Chrisさんの鶴岡滞在では、もちろん、鶴岡の名物レストランのアルケッチァーノにも一緒に行き、メタボロームとともに、コストパーフォーマンス世界No.1と私が確信しているイタリアンを堪能してもらいました。

今年のバイオ市況をみていると、今年、メタボロームパンデミックが起こる気配を感じているのは、私ひとりではないと思います。皆様いかがでしょうか?…

メタボロ太郎なう

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