概要
会期 |
9月27日(金)~28日(土) |
会場 | 一橋講堂 |
住所 |
〒101-8439 東京都千代田区一ツ橋2-1-2 |
ランチョンセミナー
日時 |
9月28日(土) 13時~14時 |
演者 |
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 堀内 雄太 |
近年、多様な生理活性作用を持つ「脂質メディエーター」と呼ばれる物質群の機能に注目が集まっており、炎症やアレルギー、免疫のほか、がんなどの分野においてもその研究が進んでいる。例えば、アラキドン酸から産生されるプロスタグランジン類やロイコトリエン類などのエイコサノイドは第1世代脂質メディエーターと呼ばれ、それらの受容体や産生酵素を標的とした薬剤が多く開発されている。第2世代脂質メディエーターと呼ばれるリゾリン脂質は、リゾホスファチジン酸(LPA)に代表されるように、細胞増殖やアポトーシスの制御といった多様な働きを有することが明らかになっている。また、第3世代脂質メディエーターのω3脂肪酸(DHA, EPAなど)やその代謝物は抗炎症作用を示し、食事における栄養バランスの観点からも興味を集めている。他にも、ステロイド骨格を持つ胆汁酸のうち特に二次胆汁酸は、腸内細菌によってのみ産生されることから、宿主の代謝変動と腸内細菌叢とをつなぐ手がかりとして注目されている。そこでHMTでは、これら多様な脂質メディエーター計400種の網羅解析を実現する新たなプラン「Mediator Scan」を開発した。
今回は、絶食時間の異なるラットの血液における代謝物質の変動や、脂肪細胞の分化過程における培養上清中の代謝物質の変動などを例として、Mediator Scanによって得られた分析結果を紹介する。特にラットの代謝変動解析においては、リゾリン脂質や脂肪酸、アシルカルニチンから示唆されるβ酸化とエネルギー供給、ω6やω3系のオキシリピンの変化に伴う炎症/抗炎症バランス、二次胆汁酸の変化から垣間見える腸内細菌の関与など、示唆に富むデータが得られた。また、いずれの試料においてもCE-MSによるイオン性代謝物質の網羅解析を同時に行っていることから、エネルギー代謝に関連する物質の変動についても併せて解析を行い、多様な代謝物質を網羅的に分析することの有用性についても論じたい。
学会の詳細は日本脂質栄養学会第28回大会をご覧ください。