昨年12月に大阪で開催したセミナーのご好評を受け、東京でも開催することとなりました!
今回は慶應義塾大学医学部生理学教室 専任講師 掛川渉先生をお招きし、D-セリンに関する最近の研究結果をもとに、脳内アミノ酸がささえる記憶・学習過程の分子メカニズムについてお話いただきます。
そのほか代謝解析の研究例をご紹介する講演を通して、メタボロミクスの可能性を感じていただければ幸いです。
日時・会場
- 日時
- 2014年2月19日(水)13:30-17:00
- 場所
- 資生堂銀座ビル3階 花椿ホールA
〒104-0061 東京都中央区銀座7-5-5 Googleマップ
- 定員
- 100名
- 参加費
- 無料
プログラム
13:00~13:30 | 受付 |
13:30~13:40 | 開会の挨拶 |
13:40~14:35 | CE-MSメタボロミクスによるマーカー開発とがん代謝研究
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 研究開発本部 知財担当部長 藤森 玉輝 |
14:35~15:30 | キラルアミノ酸メタボロミクスにより発見されたD-アミノ酸の機能性分子としての可能性
株式会社資生堂 リサーチセンター 東條洋介 |
15:30~15:50 | コーヒーブレイク |
15:50~16:50 | 記憶をささえる脳内アミノ酸の機能と制御
慶應義塾大学医学部生理学教室 専任講師 掛川渉先生 |
16:50~17:00 | 閉会の挨拶 |
プログラムは予告なく変更することがあります。
お申込み
下記リンクよりお申込みください
講演要旨
記憶をささえる脳内アミノ酸の機能と制御
掛川渉先生 慶應義塾大学医学部 生理学教室 講師 我々の脳は、1,000億を超える数の神経細胞とその10倍以上のグリア細胞が複雑に絡み合い、脳特有の神経ネットワークを構築することで機能する。今日、記憶・学習は、神経細胞間に形成される「シナプス」の結合強度の可逆的変化 (シナプス可塑性) として脳内に蓄えられると考えられ、その分子機構に関する研究が精力的に行われている。中でも、D型アミノ酸のひとつであり、脳全域に存在するD-セリンは、神経活動依存的にグリア細胞から放出され、シナプス機能を動的に調節することが分かってきた。興味深いことに、脳内D-セリンの産生・作用経路を欠く遺伝子改変マウスでは、シナプス可塑性が障害されるとともに、記憶・学習機能が著しく低下することから、脳内D-セリンの挙動が記憶・学習形成にきわめて重要であることが示唆される。そこで本講演では、演者らのD-セリンに関する最近の研究結果をもとに、脳内アミノ酸がささえる記憶・学習過程の分子メカニズムについてお話ししたい。 |
CE-MSメタボロミクスによるマーカー開発とがん代謝研究
藤森玉輝 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 研究開発本部 知財担当部長 生体内の代謝物質を分析・解析して代謝を総合的に理解するメタボロミクスは、近年、急速に注目されている。イオン性代謝物質を検出・定量できるキャピラリー電気泳動質量分析計(CE-MS)を用いたメタボロミクス は、疾患マーカー探索・がん代謝研究をはじめとする幅広い生物学に活用され、疾患マーカーの同定や生体内における代謝調節機構の解明に貢献し始めている。弊社マーカー開発においては、メタボロミクスを用いて様々な疾患のマーカー探索を行い、対象とする疾患の選定から、試験デザイン、評価までノウハウを蓄積させている。大うつ病性障害の有用マーカーを取得し、実用化に向けて開発をさらに進めている。弊社がん代謝研究においては、網羅的解析に適したキャピラリー電気泳動飛行時間型質量分析計を用いて、がん手術検体のメタボロミクスを行い、がんのタイプの違いにより異なる代謝調節が行われていることを明らかにした。さらに、中心代謝をより詳細に調べるために、中心代謝中間体(116物質)に特化したキャピラリー電気泳動三連四重極型質量分析計を用いた高感度・高精度メタボロミクスの手法を開発した。本セミナーでは、マーカー開発とがん代謝研究を紹介することで、CE-MSを用いたメタボロミクスの有用性についてお話しする。 |
キラルアミノ酸メタボロミクスにより発見されたD-アミノ酸の機能性分子としての可能性
東條洋介 株式会社資生堂 リサーチセンター 生体内には様々な機能性分子としてのアミノ酸が存在するが、光学異性体(D体・L体)を識別した議論はほとんどなかった。我々はD体とL体を切り分け網羅的に定量するキラルアミノ酸メタボロミクスを皮膚をはじめとする生体試料に適用し、発見されたD-アミノ酸についてin vitroやヒト試験により生理機能を検討している。本セミナーでは皮膚(真皮・表皮・角層)や体液中のD-アミノ酸の組成の違いや加齢による変動を示しながら、見出された皮膚恒常性維持に繋がる機能の最新知見や疾患バイオマーカーとしてのポテンシャルを紹介する。また、D-アミノ酸が特定の発酵食品等に豊富である例や、D-アミノ酸を比較的高濃度で含有する食品の長期摂取により皮膚に到達する可能性を示し、急速に期待が高まる健康・美容領域への応用について展望する。 |
- 主催
- 株式会社資生堂
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社 - お問い合わせ
- ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
営業・マーケティング部
☎ 03-3551-2180