HMTは北海道で開催される第5回がんと代謝研究会 in 札幌にて出展および企業セミナーを行います。
概要
会期 |
7月13日(木)~14日(金) |
会場 | 北海道大学医学部学友会館「フラテ」大ホール |
住所 | 〒 060-8638 札幌市北区北15条西7丁目 |
企業セミナー
日時 | 7月14日(金)15:30~ |
タイトル |
哺乳類の代謝が全身性に変わる二つの局面〜「胚発生」と「冬眠」 |
演者 |
山口 良文先生 東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室 |
エネルギー代謝は全ての生命活動の根幹である。個体レベルでエネルギー代謝状態が劇的に変化し、かつその変化が生命活動に重要な局面として、「胚発生」と「冬眠」があげられる。
哺乳類胚発生は、卵子に栄養の備蓄が殆ど無い点が他の動物と大きく異なる特徴である。その発生過程では、活発な細胞増殖を支えるエネルギー代謝・物質生産システムが必要と予想されるが、発生と代謝の協調にはいまだ不明な点が多い。メタボローム解析を用いたわたしたちの最近の研究により、母胎との関係性が変化する妊娠中期にエネルギー代謝様式の大きな変化が生じることが明らかになった。
同じように、エネルギー代謝様式の変化を個体レベルで必要とする現象として、冬眠がある。哺乳類は外界温度に依存せずに体温を保持する「恒温性」を獲得しているが、その代償として体温保持のための熱産生に多量のエネルギーを要するようになった。しかし一部の哺乳類は、この熱産生と代謝を抑制した極度の低体温状態すなわち「冬眠」状態に能動的になることで、寒冷・飢餓といった過酷な環境を乗り切ることができる。通常の哺乳類はそうした状況では死に至ることを考えると、いかなる機構で冬眠が可能なのか、未だ大きな謎として残されている。わたしたちはシリアンハムスターをモデルに冬眠機構の解析を行っている。近年の研究から、冬眠可能な哺乳類も通年冬眠可能ではなく、体の状態を夏季の冬眠不能状態から、冬季の冬眠可能状態へと遷移させることで、冬眠を行うことが明らかになりつつある。本セミナーでは、冬眠可能状態の特徴である、脂質代謝・生合成の亢進、骨格筋遷移のタイプシフト等について紹介する。
学会の詳細は第5回がんと代謝研究会 in 札幌をご覧ください。