概要
会期 | 9月7日(金)~9日(日) |
会場 | アオッサ・ハピリン |
住所 | アオッサ
〒910-0858 福井県福井市手寄1丁目4-1 ハピリン 〒910-0006 福井県福井市中央1丁目2-1 |
ランチョンセミナー
日時 | 9月8日(土) 12:10 〜 13:10 |
タイトル |
運動・トレーニングにともなう中枢疲労問題に迫る新手法開発:
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演者 |
筑波大学体育系・教授 ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)・センター長 征矢 英昭先生 |
座長 |
同志社大学スポーツ健康科学部 教授 石井 好二郎先生 |
長時間の激運動は認知疲労など中枢疲労を起こす。さらに、そうした運動の積み上げは抑うつ傾向を伴うオーバートレーニングを招きやすい。こうした急性・慢性疲労に対処するコンディショニングは高持久性種目に不可欠だが、メカニズムの解明や対処法の確立は遅れている。前者では低血糖や脳内セロトニン蓄積、後者では慢性ストレス蓄積による認知疲労などが示唆されている。我々は、前者では脳グリコーゲン(GLY)代謝に着目し、網羅的メタボローム解析を導入、後者では、毛髪でコルチゾールモニタリング法を開発しており、その一端を紹介する。
脳GLYは、神経活動に依存して乳酸にまで分解され、それがモノカルボン酸輸送担体-2(MCT-2)を介して神経で利用される。MCT-2の機能不全は海馬の認知機能低下を招く。我々は、長時間運動時に脳GLYが脳内モノアミン代謝に伴い減少する一方、運動後6時間で超回復することから、認知疲労の新たな要因となることを提案している。興味深いことにこの脳GLY減少は筋GLYとは異なり枯渇しない。これは、メタボローム解析よるATP含量でも同様な結果となり、脳の神経細胞死を防ぐ防御機構としての機能が示唆される。そこで、筋GLYのみならず脳GLYレベルを高く保ち、持久力と認知機能を高めるコンディショニングとして、海馬Glyローディング法 (Sci Rep., 20118)を開発。これに関連する糖原性アミノ酸をバイオマーカー候補として見いだしている。
毛髪コルチゾールは、1〜3cmの毛髪から1〜3ヶ月間の蓄積型として定量できる。我々は1cm毛髪で一ヶ月の蓄積ストレス評価法を開発し、駅伝選手の高地トレーニングモニタリングなどに応用している。血液や唾液で検出できない慢性コルチゾール濃度増加が血中ヘモグロビン濃度や疲労感、パフォーマンスなどと関連することを見いだしている。今後、メタボロミクス解析から関連する代謝マーカー探索に応用していく。