ABC’s of Metabolomics

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バイオマーカー探索 その5 – 試料の選択

研究開発本部の藤森です。今回は疾患バイオマーカー探索の試料の選択についてお話ししたいと思います。何を試料として選択するかは、マーカーの発見だけでなく、その後の診断キットの開発の成否にも大きな影響を及ぼします。

メタボロミクスによる疾患マーカー探索の論文を見てみると、試料として、血液(血漿、血清、全血)、尿(早朝尿、随時尿、蓄尿)、脳脊髄液、唾液、汗等が選択されています。…

【研究者インタビュー】徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 大政健史教授 (後篇)

徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部大政健史先生へのインタビュー、後篇です。前篇はこちら

―今後どういった方向性で研究を進めて行かれる予定ですか?

ヘテロジェネイティ、不均一性を大きな主眼点として置いています。

微生物やヒトの初代細胞は細胞の性質が割ときちんとして一つであり、ゲノムも一つです。そもそも混ざりものじゃないんです。一方、CHO細胞のように細胞株を樹立している、つまり、無限に増えることが元来無いものが無限に増えるようになった細胞の場合は、染色体の数にも不均一性、つまり分布があります。たとえ分布のないものであっても培養をしている間に分布ができます。…

【研究者インタビュー】徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 大政健史教授 (前篇)

今回は、徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部で細胞を使った抗体医薬の生産について研究なさっている大政健史先生にお話を伺いました。前篇・後篇に分けてお届けします。

大政先生は生物化学工学の分野で研究を続けてこられており、現在は経済産業省の「個別化医療に向けた次世代医薬品創出基盤技術開発(国際基準に適合した次世代抗体医薬等の製造技術)」のプロジェクトリーダーもしていらっしゃいます。

―初めに、先生のご研究について簡単に説明していただけるでしょうか
私の専門分野は生物化学工学で、生物を使って何かものつくりをするということに関わる様々な技術的な開発をしています。…

バイオマーカー探索 その4 – 検体の取り扱い

研究開発本部の藤森です。今回は、疾患のバイオーカーを探索する際の検体の取り扱いについて、考えてみたいと思います。

前回話題にした通り、バイオーカーの対象としては、遺伝子塩基配列、mRNA、タンパク質、代謝物質等があります。遺伝子塩基配列以外は、その特性上、様々な要因によって分解あるいは修飾を受け、異なる物質に変換されてしまうリスクがあります。そのため生体内の物質量を正確に検出するために、検体の取り扱いには特に注意を払う必要があります。

例えば血液を用いてバイオーカー探索をする場合の保管条件について、大きく分けて以下の2つのフェーズに分けられます。…

バイオマーカー探索 その3 – 探索の対象

研究開発本部の藤森です。今回は、何を対象にバイオマーカーを探索すべきか?についてセントラルドグマに着目して考えてみたいと思います。…

バイオマーカー探索 その2 – 疾患の定義

研究開発本部の藤森です。今回は、バイオマーカー探索の対象となる「疾患の定義」についてお話したいと思います。

色々な場面で「疾患」「健常群」などの言葉は当たり前のように使われていますが、実は非常に曖昧な言葉です。実際に疾患に罹患しているか、していないかを鑑別する診断マーカーを探索する上で、それらをどう定義するかは結果にも影響を与える重要かつ難解な問題であり、その疾患の専門医と深く議論すべきです。

「疾患の定義」とは言いかえると健常群、疾患群をどの範囲に定めるかであり、

  • 対象となる疾患の定義
  • 健常群における健常の定義

の二つの側面があります。

これだけでは分かりにくいと思いますので具体的に考えてみましょう。…

バイオマーカー探索 その1 – 対象となる疾患

研究開発本部の藤森です。今回は、バイオマーカー探索の対象となる疾患について考えてみたいと思います。

診断法の開発を目的とした疾患バイオマーカー探索を成功させる上で、3つの大きなポイントがあります。それは、…

「第1回がんと代謝研究会」参加レポート

研究開発本部の藤森です。2013年10月30日から11月1日まで山形県鶴岡市で行われている「第1回がんと代謝研究会」に参加してきました。

地方都市で交通の便がよいロケーションではなく、また「がんと代謝」という、限定されたテーマでであったにもかかわらず、約300名が参加し、熱い議論が交わされていました。がん領域の最先端の研究をされている著名な先生方も多数参加されており、がん領域の研究でもゲノムから再び代謝に焦点があてられ始めたことが、認識できました。

質量分析計等の技術的進歩により、比較的容易に、主要代謝経路のほとんどの代謝中間体を検出・定量すること(メタボローム解析)ができることにようになったこと、ゲノムに着目をしたがん領域の研究に限界が見え始めたことが、再び、がん領域の研究者が代謝に着目し始めたドライバーになったのではないでしょうか。

一部ではありますが、個人的に非常に印象的だった発表について紹介したいと思います。…

【研究者インタビュー】名古屋大学大学院医学系研究科 伊藤嘉規講師

名古屋大学大学院医学系研究科で小児医療について研究をなさっている伊藤嘉規先生にお話を伺いました。

伊藤先生は主に小児科学、ウイルス学の分野で研究を続けていらっしゃいます。2010年にHMTメタボロミクス研究助成を受賞された鳥居ゆか先生も伊藤先生の研究室で研究されています。

―初めに、研究課題について簡単に説明していただけますか?

我々の研究室では主に基礎研究、臨床研究の二つの柱に沿って研究を行っています。…

メタボロミクスにおける安定同位体の利用

研究開発本部の藤森です。今回から安定同位体を採り入れたメタボロミクスについてのお話です。

一般的なメタボローム解析では、細胞内のあるタイムポイントでの代謝プロファイルしか見られません。

例えば、植物の葉のメタボロミクスにおいて、植物をある条件に置いた時に、TCAサイクルでクエン酸、イソクエン酸のレベルは変動しないが、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸のレベルは低下し、さらにグルタミンをはじめとする特定のアミノ酸のレベルが上昇したとします。…

メタボロ太郎なう

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