Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はシステイン(Cysteine)について紹介をいたします。
システイン
- L-システインはタンパク質を構成するアミノ酸のひとつです。
- L-システインは強力な抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)の一部です。GSHはL-システインの貯蔵庫としても機能します。
- L-システインの量は、正常な代謝に十分かつ毒性の閾値以下になるように肝臓で調節されます。
- L-システインは抗酸化作用を持っていますが、D-システインは微生物に有毒であることが知られています。
- L-システインは酸化されて二量体のシスチンとなり、容易に哺乳類の細胞内に輸送されます。細胞内ではシスチンは還元されてL-システインに戻り、タンパク質、コエンザイムAなどの生体分子の合成やmTORC1シグナル伝達のために必須の基質となります。
- L-システインは非必須アミノ酸に分類されます。哺乳類は、L-メチオニンからL-システインの合成のためにトランススルフレーション経路を利用し、そのほとんどは肝臓で行われます。
- γ-グルタミルサイクルにおいて、細胞外のGSHはγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)とジペプチダーゼ(DP)によって順次切断されてL-システインを放出し、それらは細胞内に輸送されます。
- GSH合成の最初のステップかつ律速段階である反応はグルタミン酸システインリガーゼ (GCL)によって触媒されます。GCLはL-システインの可用性により転写および翻訳のレベルで制御されます。
- L-システインのチオール基は酸化還元反応に関与します。また、求核付加反応、求核置換反応、メチル基転移反応、アシル化反応などを介して、L-システイン酸、ラクトイル-L-システイン、S-メチル-L-システインなど様々な代謝物を生成することができます。これらの代謝物は、L-システイン、解毒最終産物や酸化生成物の貯蔵庫として機能するため、酸化状態、トランススルフレーション経路、メチル化経路の変化に関するバイオマーカーになると考えられています。
- N-アセチル-L-システイン(NAC)は強力な抗酸化物質です。NACは医薬品として、医療機関でアセトアミノフェン中毒の治療に使用されています。
おすすめ解析プラン
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