Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はアルギニン(Arginine)について紹介をいたします。
アルギニン
- L-アルギニンは尿素回路や一酸化窒素合成といった主要な代謝経路に関与しています。
- 心臓病の治療や勃起不全のために、多くの人がL-アルギニンを血管拡張剤として経口摂取しています。この血管拡張作用は、アルギニンからシトルリンへの変換に伴う一酸化窒素(NO)の生成によるものと考えられています。
- L-アルギニンは塩基性アミノ酸に分類されます。発育段階や健康状態によっては、準必須アミノ酸や条件付き必須アミノ酸に分類されます。食事によるアルギニンの摂取は必要ですが、アルギニンはヒト体内でも生合成されます。成人は老廃物であるアンモニアを処理する過程(尿素回路)でアルギニンを生合成できます。
- L-アルギニンは苦味を持ちます。
- L-アルギニンは、NOの生成と転写の活性化を介して、免疫と創傷治癒に重要な役割を果たします。
- L-アルギニンはクレアチンとホスホクレアチンの生合成に利用されるため、ATPのリサイクルに必要です。また、オルニチンへの変換を介してポリアミンの生合成に利用されます。
- L-アルギニンから生合成された非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)は、一酸化窒素合成酵素(NOS)の反応を阻害します。これは負のフィードバック制御機構を構成します。ADMAは、高濃度になるとNOSを阻害するため、血管疾患のマーカーと考えられています。
- L-アルギニンは成長ホルモンやプロラクチンといったホルモンの分泌を促進します。
- L-アルギニンはmTORの誘導物質として知られており、mTOR経路を介してタンパク質合成を誘導します。
- 敗血症、外傷、がんなどの疾患では、L-アルギニンの利用が増加することがあります。このような疾患では、L-アルギニンの消費量が通常の体内供給量を超えて、枯渇が見られることがあります。
- L-アルギニンはAMPKを活性化し、骨格筋の脂肪酸酸化と筋肉のグルコース取り込みを促進します。これにより、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を増加させます。
おすすめ解析プラン
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