Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はセリン(Serine)について紹介をいたします。
セリン
- セリンは側鎖にヒドロキシメチル基をもつ極性アミノ酸で、非必須アミノ酸です。
- セリンは、グリシン、システイン、タウリンといった代謝物質のほか、ホスファチジルセリンなどのリン脂質の合成にも関与します。また、葉酸代謝やメチオニン回路を含めた一炭素代謝にも深く関連しています。
- L-セリンの生合成は、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(PHGDH)によって3-ホスホグリセリン酸からホスホヒドロキシピルビン酸が生成する反応から始まります。ホスホヒドロキシピルビン酸はホスホセリンアミノ基転移酵素(PSAT)により還元的アミノ化され、3-ホスホセリンが得られます。さらに3-ホスホセリンがホスホセリンホスファターゼで加水分解されてセリンになります。
- セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)は、L-セリンからグリシンへの変換、テトラヒドロ葉酸(THF)から5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-mTHF)への変換を同時に、かつ可逆的に触媒します。
- セリンは、D体の生物学的意義がよく知られている2つのアミノ酸のうちのひとつで、ヒト細胞内でのラセミ化に由来するD-アミノ酸はD-セリンとD-アスパラギン酸のみであることが示唆されており、ヒトの生理学やがんとの関連で研究が進められています。
- D-セリンは、セリンラセマーゼによってL-セリンから神経細胞内で合成されます。D-セリンは、NMDA型グルタミン酸受容体のグリシン結合部位における強力なコアゴニスト(アゴニストとともに結合することで効果を発揮する物質)です。受容体が十分に活性化するためには、受容体にグルタミン酸と、グリシンまたはD-セリンのいずれかが結合しなければなりません。NMDA型グルタミン酸受容体のグリシン結合部位では、グリシンそのものよりもD-セリンの方が強力なアゴニストとして作用することが報告されています。
おすすめ解析プラン
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