Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はロイシン(Leucine)について紹介をいたします。
ロイシン
- ロイシンは側鎖にイソブチル基をもつ非極性の脂肪族アミノ酸で、必須アミノ酸です。
- ロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)のひとつです。他のBCAAとしてイソロイシン、バリンが挙げられます。ロイシンは、アミノ酸の中でも動植物組織や食物に多く含まれていることが知られています。
- ロイシンの炭素骨格は、アセチルCoAへと分解されてATP生成に利用されます。このためロイシンはケト原性アミノ酸に分類されます。ケト原性でありながら糖原性でないアミノ酸は、ロイシンとリジンの二種類です。
- 食餌から摂取したロイシンは、主に肝臓や脂肪組織、筋肉などで代謝されます。また、摂取したロイシンの40%ほどはアセチルCoAに代謝されると言われており、約5%はβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)に代謝されると考えられています。
- HMBはロイシンの分解産物で、ヒトにおいていくつかの機能をもつことが示唆されています。そのうちの一つとして、セリン/スレオニンキナーゼであるmTORのリン酸化を介したタンパク質の生合成の促進が挙げられます。また、HMBの摂取によって筋肉におけるタンパク質合成量の増加やタンパク質分解量の減少が起こるという報告もあり、サプリメントとしても販売されています。
- mTORの活性化を行うアミノ酸として初めて報告されたのがロイシンです。ロイシンは、細胞中のロイシンの量を感知する「ロイシンセンサー」であるロイシルtRNA合成酵素(LRS)やセストリン2(Sestrin2)などを介してmTOR複合体の活性を調節し、タンパク質合成、組織再生、代謝などの細胞プロセスを制御します。
- セストリン2は、ロイシンの濃度と代謝や成長の制御を結びつけます。ロイシンがセストリン2に結合すると、セストリン2はmTORC1制御因子GATOR2との複合体から放出され、最終的にmTORC1が活性化されます。
- ロイシンなどBCAAの血中濃度が高いことは、インスリン抵抗性と関連します。これは、ロイシンがmTORシグナルを刺激することに起因するかもしれません。
おすすめ解析プラン
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