こんにちは、B&Mの大賀です。前回から、いまアツいメタボローム解析とは?第一弾として、代謝フラクソミクス解析のレビューをご紹介しています。
2報目にご紹介するのは、2年前に紹介した論文のコレスポンディングオーサーであるUwe Sauer博士のグループから出たレビューです。…
こんにちは、なんだかずいぶんお久しぶりですね。B&Mの大賀です。
鶴岡に来て3年目の今年、実は初めて、夏の盛りに実家がある関西に帰省しました。「庄内も夏になるとやっぱり暑いね~」なんて言っていましたが、なんのなんの~久し振りに味わう熱帯夜は「これが温暖化というヤツか?」と言わざるを得ない、記憶の中のモノとは桁違いの不快感...ああ、もう南国には住めない体になったのだ、とこちらで流れた時間(と失った体力)に思いを馳せる、今日この頃です。
さて、振り返れば早いもので、このメタブローグもかれこれ2年以上続いています。この僅か2年という期間で、メタボローム解析が活躍する分野は本当に大きく広がりました。以前からも折にふれて色々なメタボローム解析事例を紹介してきましたが、今回からしばらくの間、いま特にホット(だと大賀が勝手に思っているよう)なメタボローム研究分野を集中的に取り上げて、紹介していきたいと思います。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第九弾です。今回から新しいシリーズです。
農作物が深刻な被害を受ける主な原因としては、乾燥、低温、塩害などがあります。これらのストレスを受けると、農作物の生産性が著しく低下し、農業的に大きな問題となっています。具体的には、砂漠化による農作地の減少、冷害による農作物の収穫量の劇的な低下などがあります。このような状況下で、モデル植物であるシロイヌナズナやイネを用いて、ストレス応答メカニズムを解明し、ストレス耐性植物を開発することは、重要な課題となっています。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第八弾です。
前回のブログでも触れましたが、大気中の二酸化濃度の状態では、カルビンサイクルの律速段階であると考えられている代謝反応はリブロースビスリン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)酵素によって触媒されています。
このRubiscoは、二酸化炭素だけではなく、酸素とも反応します。カルビンサイクルでは二酸化炭素とリブロース1,5-ビスリン酸から二分子の3-ホスホグリセリン酸を生成する一般的によく知られている反応を担っています。また、酸素とリブロース1,5-ビスリン酸から3-ホスホグリセリン酸とホスホグルコール酸を生成する反応も担っています。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第七弾です。
前回のブログでは、カルビンサイクルのフルクトース1,6-ビスリン酸ホスファターゼとセドヘプツロース1,7-ビスリン酸ホスファターゼを過剰発現させた植物体(タバコ)で、二酸化炭素の取り込みが上昇し、スクロースやデンプンレベルが増加し、生育が上昇することを紹介しました。
しかしながら、カルビンサイクルの律速段階は、リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)酵素による二酸化炭素を二酸化炭素受容体代謝物に固定する代謝反応であると昔から考えられてきており、この仮説をサポートする結果も多く得られています。そこで、今回のブログでは、Rubiscoを過剰発現させたイネで、二酸化炭素の取り込みや生育について調べた論文についてお話します。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第六弾です。
これまでに、植物の生産性を上げるための研究の結果、…
今年の学会は2年に1度の植物メタボローム学会との同時開催ということもあり、過去最大の740名の登録がありました。およその内訳は、南北米から100名、アジア100名、残りはヨーロッパが中心で、アフリカ、中近東からの参加もありました。やはりEU中心の学会でしたが、参加国は40数カ国に膨れ上がり、全般に活況でメタボロームの第2ステージの幕開けを実感できた学会でした。今回で3年連続参加したので、最近の変化と言う観点から今年の印象を以下のようにまとめてみました。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。植物メタブローグ第五弾です。
前回に引き続き、2-オキソグルタル酸の供給を増加させる植物を作製して解析した論文の2報目を紹介します。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。前回のがんとメタボロームの続きについてお話したいと思います。
前回は、がん細胞はエネルギー獲得と同時に増殖に必要な細胞内構成成分を生合成するのに有利な代謝を行っていること、グルコースやグルタミンを大量に取り込み、解糖系およびグルタミン分解が活性化されていることをお話しました。
グルコースは解糖系でピルビン酸に変換され、乳酸脱水素酵素によってさらに乳酸に変換されます。グルタミンも、グルタミン酸を経て、2-オキソグルタル酸に変換され、ミトコンドリア内のTCA回路に入り、リンゴ酸が生成されます。生成された一部のリンゴ酸はミトコンドリアから再び細胞質へ出て、リンゴ酸脱水素酵素によってピルビン酸に変換され、グルコース由来のピルビン酸の場合と同様に乳酸に変換されます。そのため、ピルビン酸から乳酸への反応はがん細胞代謝において非常に重要な働きをしています。
がん細胞内で、乳酸蓄積に関して、グルコースとグルタミンがどの程度寄与しているかについては大変興味深い問題で、いずれお話したいと思いますが、今回はピルビン酸から乳酸を生成する乳酸脱水素酵素に着目して、この酵素ががん細胞の増殖に重要であることを示した論文について説明します[1]。…
バイオマーカー・分子診断事業部の藤森です。いつもは植物とメタボロミクスについてお話していますが、今回からがんとメタボロミクスについてもお話ししていきたいと思います。植物とメタボロミクスについても引き続きお話していきますので、こちらもよろしくお願いします。
がんの研究の世界では、どのようなメカニズムを働かせて正常細胞からがん細胞に変換され、がん細胞が増殖し続けるのかについて明らかにするために、20世紀の終わり頃はがん遺伝子、がん抑制遺伝子を同定する仕事がたくさん行われてきました。その結果、がん化あるいはがんの抑制に関わる遺伝子が多く同定されてきました。…