概要
会期 |
9月16日(土)~18日(月) |
会場 | 松山大学 文京キャンパス |
住所 | 〒 790-8578 愛媛県松山市文京町4番地2 |
ランチョンセミナー
日時 | 9月17日(日)12:10~ |
タイトル |
メタボローム解析からみた女性のコンディション変化と血中代謝物質変動の関連性 |
演者 |
須永 美歌子先生 日本体育大学児童スポーツ教育学部 教授 |
スポーツ庁は「第2期スポーツ基本計画」のなかで今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策として“女性がスポーツに参画しやすい環境整備”を掲げ,スポーツを通じた女性の活躍促進を目指している.したがって,競技スポーツのみならず,様々な目的をもって女性がスポーツに参加する機会はますます増えることが期待される.女性が健康状態を保ちながら,良いコンディションでスポーツに取り組むためには,女性の身体的特性や運動時反応の性差などについて考慮する必要があるといえる.
女性の身体的特性において,もっとも特徴的な点は,月経周期を有し,妊娠・出産が可能なことである.女性は思春期をむかえると初経が発現し,約一ヶ月のサイクルで周期的に性ホルモン濃度が変動するようになる.月経周期とは,月経開始日から次の月経の前日までの日数を示し,正常な月経周期は25~38日と定義されている.また,月経周期は卵胞期(低エストロゲン,低プロゲステロン)と黄体期(高エストロゲン,高プロゲステロン)の2つのフェーズに分けることができる.このような性ホルモン濃度の周期的な変動が心身のコンディションに変化をもたらし,運動パフォーマンスにも影響することが懸念されている.
月経周期に伴う心身のコンディションの変化に及ぼす要因は多岐に渡るが,われわれはエネルギー代謝に着目し,メタボローム解析を用いて各フェーズの血漿中代謝物質の変化を観察することによって,月経周期がコンディションに与える影響について検討した.その結果,バリン,グリシン,アルギニンなど複数の糖原性アミノ酸が卵胞期に比べて黄体期に低い値を示した.一方,クエン酸,イソクエン酸といったTCA回路内の代謝物質は卵胞期に比べて黄体期に高い値を示した.以上のことから,糖新生の代謝経路の活性が変化することが月経周期に伴うコンディションの変化に影響する可能性が示唆された.