バイオものづくりとは

バイオものづくりとは、微生物や細胞などの生物の力を活用して、食品、医薬品、化学品、エネルギー資源などの有用な物質を生産する技術領域です。化学合成など、化石燃料を原料とした従来の製造手法とは異なり、環境負荷が低く、持続可能性に優れた製造方法として注目されています。近年では、遺伝子工学や合成生物学の進展により、微生物や細胞などの代謝経路を自在に設計・改変することが可能となり、より高効率で高機能な生産が実現しつつあります。

しかし、効率的なバイオものづくりには複雑な代謝ネットワークの理解と制御が不可欠であり、実験と解析の高度な連携が求められます。特に、細胞内での代謝物質の流れ(フラックス)を定量的に把握することは、生産性向上の鍵となります。メタボローム解析は、生産性を向上させるうえでも有用な技術として活用されております。
 

生産性向上の最適化


生産性向上の最適化

サービス概要

HMTの提供するバイオものづくり生産性向上支援サービスは、バイオものづくりにおける生産効率の最大化を目的とした、メタボローム解析と13Cラベル解析および代謝フラックス解析を活用した包括的な支援サービスです。代謝経路の可視化から、製造プロセスのボトルネック特定、改善提案までをワンストップで提供します。

本サービスは、当社のメタボローム解析技術を基盤とし、以下のような特長があります。

  • 開発フェーズにあわせたメタボローム解析:お客様の開発フェーズごとの課題に対して最適なメタボローム解析方法をご利用いただけます。
  • 業界最高品質の13Cラベル解析および代謝フラックス解析:代謝の流れを可視化し目的物質の生産においてボトルネックとなる代謝経路を特定します。
  • サイエンスサポート担当および業界経験豊富なアドバイザーによる解釈支援:得られたデータに基づき目的物質の生産効率化に向けた具体的な施策を提案します。

※代謝フラックス解析とは、細胞内の代謝経路における物質の流れを解析する手法です。一般的なメタボローム解析では、測定対象となる様々な代謝物質の種類と量が明らかになるのに対し、代謝フラックス解析では、ある代謝物質が別の代謝物質に変換されるときの反応速度(=代謝フラックス)が推定されます。代謝フラックス解析には、大きく分けて実験的手法(例:13C-代謝フラックス解析)とコンピューターシミュレーションによる手法(例:フラックスバランス解析)の2種類があります。

本サービスによる細胞内外の代謝変化の可視化


本サービスによる細胞内外の代謝変化の可視化とそこから得られる示唆の例

本サービスでは、メタボローム解析による細胞内外に存在する物質の網羅解析に加え、新たに開発した代謝の流れを可視化する「代謝フラックス解析」を実施いたします。メタボローム解析および代謝フラックスの解析結果から、当社サイエンスサポート担当者が、目的物質の生産効率化に向けた解決策を提案いたします。その後、お客様には当社からの助言・提言等を踏まえた施策を実施いただき、再度検証試験ならびにメタボローム解析・代謝フラックス解析を行います。このプロセスを繰り返し、お客様と共にバイオものづくりにおける生産コストの削減と生産効率化を伴走的に実現するのが本サービスの特長です。

本サービスは、「バイオ燃料」や「バイオプラスチック」などの他、「培養肉」や「人工タンパク質」といった食品や機能性素材、さらに「バイオ医薬品」や「細胞治療」などの医療領域まで、様々な分野のバイオものづくりにおける生産性向上にご活用いただけます。

サービスの流れ


本サービスによる細胞内外の代謝変化の可視化とそこから得られる示唆の例

分析フェーズとソリューションフェーズを繰り返し、生産性向上を支援します

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サービスの技術的特長

本サービスの「分析フェーズ」では、HMTの技術的特長を活かし、バイオものづくりにおける課題の特定や改善提案などを行います。これらの取り組みが、本サービスの大きな特長となっています。
※以下は分析フェーズの標準的な流れの一例です。お客様のニーズに合わせて最適な解析プランを選択いただけます。

分析フェーズの標準的な流れ


分析フェーズの標準的な流れ

分析フェーズにおいては、複数の技術を組み合わせて活用しております。その中でもバイオものづくりの生産性向上支援に大きく寄与し、本サービスの特長と位置付けられるものは、以下の3つの技術です。

  • F-SCOPE PLUS によるラベル解析
  • 13C-代謝フラックス解析(13C-MFA:13C-Metabolic Flux Analysis)
  • フラックスバランス解析(FBA:Flux Balance Analysis)

F-SCOPE PLUS によるラベル解析

代謝フラックス解析を行うためには、13Cなどの安定同位体で標識された基質を細胞に取り込ませ、各代謝物質への安定同位体の蓄積量を測定する「ラベル解析」を実施する必要がありますが、試料種や対象物質によっては装置の感度不足が課題となっておりました。そこで、HMTの特許技術を用いた超高感度分析プラットフォームCE-FTMSを導入し、新たなプラン「F-SCOPE PLUS」を開発いたしました。これにより、従来の方法に比べ安定同位体で標識された物質群のより精緻なデータが得られ、信頼性の高いラベル解析を行うことが可能となりました。

13C-代謝フラックス解析(13C-MFA:13C-Metabolic Flux Analysis)

13C-MFAとは、ラベル解析で得られた実測データを説明するように代謝経路のフラックス分布を推定する手法です。ある代謝物質が別の代謝物質に変換される各反応の流束を推定できることから、バイオものづくりにおいて目的物質の生産性を上げるための非常に強力な解析ツールとなります。

HMTの13C-MFAの強み
  • 革新的なフラックス解析測定技術
    代謝中間体のラベルパターンの解析を行うことで、従来のGC-MS法では難しかった増殖停止期(定常期)の解析が、当社のCE-MS技術により可能となりました。
    ※増殖停止期はタンパク質の生成反応が低下するため、GC-MSを用いてタンパク質由来のラベルパターンを解析してフラックスを推定する汎用的な方法が使えません。
  • 高感度測定技術
    新解析プラン「F-SCOPE PLUS」は、従来プランに比べ10倍以上の感度を誇り、より微量な代謝物情報を得ることができます。
  • 高精度フラックス解析
    微量な代謝物の13Cラベル化情報を用いてフラックスを推定することで、より高精度な推定を可能にしました。

フラックスバランス解析(FBA:Flux Balance Analysis)

FBAは、細胞内の代謝経路をモデル化し、目的とする反応を最大化した際の理想的なフラックス分布をシミュレーションすることが可能な解析方法です。原料となる基質から生産対象の目的物質までの代謝経路の化学量論式をモデル化し、線型計画法により目的物質の生産が最大化されるフラックス分布を試算する事で、理論上の最大収率や、その際のフラックス分布を明らかにすることができます。また、現状のフラックス分布との比較を行うことで、理論上の最大収率に対する現在の収率の評価、収率や生産速度を向上させるための改変点の考察などを行うことができます。

Lactic acid 生産を例としたフラックス解析


Lactic acid 生産を例としたフラックス解析

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よくある質問

HMTのメタボローム解析が用いられたバイオものづくり分野の論文事例は?

 
本サービスのメリットは?

  • 開発フェーズにあわせたメタボローム解析:お客様の開発フェーズごとの課題に対して最適なメタボローム解析方法をご利用いただけます。
  • 業界最高品質の13Cラベル解析および代謝フラックス解析:代謝の流れを可視化し目的物質の生産においてボトルネックとなる代謝経路を特定します。
  • サイエンスサポート担当および業界経験豊富なアドバイザーによる解釈支援:得られたデータに基づき目的物質の生産効率化に向けた具体的な施策を提案します。

 
価格はどのくらいですか?

お客様がお持ちの課題によってご提案内容が変わってまいりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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