メタボロミクスは、注目を集める”オミクス”研究の中でも、表現型にもっとも近い代謝物質を総合的に解析する研究として、成長著しい分野です。
そこで、萌芽性を持つ諸分野の若手研究者に新規技術であるメタボロミクスを研究に採り入れることを奨励し、新たな領域を切り拓く先導的研究を行う機会を提供します。研究の奨励を通して、科学の発展と次世代の科学を担う人材の育成に寄与することを目的としています。
- 研究対象領域
- メタボロミクスを利用し、当該分野の新たな領域を切り拓く独創的・挑戦的な研究。生命科学・医学・化学・環境科学など、分野は限定しません。
ただし、当社と既に共同研究・受託解析契約を結んでいる研究室からの既存研究の延長とみなされる課題は、本助成の趣旨から外れるため対象外とします。研究テーマ例
・バイオマスの利活用推進への応用
・他の生命科学系データベースとメタボロミクスの連携による知識抽出
・メタボロミクスを利用した新規アッセイ技術
・メタボリックシンドローム治療薬の創薬シーズ
・高分子との相互作用解析
・バイオコンピューティングへの応用
・トランスポーターの機能解析研究
・細胞を用いたタンパク生産の最適化研究
・病態モデルの解析研究
以上は研究例であり、募集分野を限定するものではありません。自由な発想による応募をお待ちしております。 - 募集対象者
- 2014年5月1日現在、意欲的に研究活動に従事する国内外の博士課程および博士課程に進学予定の修士課程2年の学生。研究科・専攻は問いません。ただし、昨年度までの採択者は対象外とします。
- 助成内容
- (1)大賞 最大1名
① 最大500万円のメタボローム解析パッケージおよびコンサルティング
② 助成金30万円
(2)奨励賞 最大2名
① 最大500万円のメタボローム解析パッケージおよびコンサルティング
② 助成金10万円 - 選考方法
- HMTメタボロミクス先導研究助成選考委員会において厳正に一次選考(書類審査)を行います。一次選考審査通過者に対し、事前に連絡の上、電話による15分程度のヒアリングを行います(9月予定)。
- 選考結果通知
- 申請に対する採否は、HMTウェブサイトにて発表します(9月予定)。
- 採択課題等の公開
- 採択した研究課題等については、次の情報について公開します。
受賞区分、研究課題名、助成対象者の所属、氏名
ただし、研究内容の性格上、一部非公開が望ましい場合はご相談に応じます。 - 提出書類
- (1)2014年度HMTメタボロミクス先導研究助成交付申請書
(2)CV (履歴書)
形式は問いませんが、経歴を明記してください。また、該当項目がある場合は、獲得したフェローシップ・所属学会・業績についても記載してください。 - 申請方法・受付期間
- (ア)上記提出書類を各3部下記送付先までご送付ください。提出書類は1部ごとにクリアファイルもしくはクリップでまとめ、ホッチキスは使用しないようにしてください。マシン環境によって出力が異なることがあるため、電子ファイルでの送付は受け付けておりません。
(イ) (ア)送付後に、2014年度 HMTメタボロミクス先導研究助成申請サイトへアクセスし、所定の内容(氏名、タイトルなど)を送信してください。
受付期間は2014年5月1日から2014年7月31日(必着)までとします。受付期間終了後は、いかなる理由によりましても申請を受付いたしませんのでご注意下さい。 - 申請書送付先
- ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-23-1エンパイヤビル6階
2014年度HMT先導助成係 - その他の申請条件
- (1)副賞のメタボローム解析から得られる知的財産権は採択者に帰属します。
(2)当該解析から得られた研究成果を学会誌等に発表する場合、本助成を受けて実施した旨を明記することを条件とします。
(3)申請書は返却いたしませんので、ご了承下さい。
(4)採択された方は助成授与式にご出席ください。交通費・宿泊費は当社が負担します。
助成のタイムスケジュール
2014年度の先導助成は以下のスケジュールで進める予定です。予定ではございますが、サンプル送付、解析の時期などあらかじめご確認ください。
5月1日~7月31日 | 応募期間 |
8月 | 一次審査 |
9月 | 二次審査 |
9年下旬 | 採択者発表 |
10月 | コンサルティング |
10月~2015年4月 | サンプル送付/受領 |
2015年4月~6月 | 解析 |
FAQ
Q. どんな代謝物質が分析できますか?
A.
解糖系・TCA回路に含まれる代謝物質やアミノ酸など、約900代謝物質の分析が可能です。
Q. 中性物質も分析できますか?
A.
はい。前述の約900代謝物質リストには含まれていませんが、LC-MSでの分析により可能です。
Q. 申請書のページ数に上限はありますか?
A.
申請書の枚数に制限はありません。研究内容が最もよく伝わる形にまとめてご応募ください。
Q. 2課題以上申請することはできますか?
A.
はい、テーマが違う場合は2課題以上申請いただいてもかまいません。一つの封筒でご送付いただいてけっこうですが、2課題の申請であることが分かりやすいようにしていただけると助かります。
昨年の受賞者からのメッセージ
I strived to to elucidate the anti-inflammatory mechanisms of nutraceuticals in a colitic mouse model and I am indeed very grateful to HMT’s support which allowed me to fulfill my dream of using multi-omics technologies in my study. Unlike gene and protein expression which might indicate the potential for physiological changes, metabolites and their kinetic changes in concentration within cells, tissues and organs symbolize the real endpoints of physiological regulatory processes. Metabolic profiling has the necessary predictive power to become a tool for clinical use, particularly in the field of personalized medicine. Good Luck in your application!(「マヌカハニーおよびコリアンダーによる炎症性大腸炎改善の機構解明に向けたメタボロミクスの徹底活用」Wanping Awさん)
メタボロミクスは、複雑な内部関係を有す系に対しても全体的鳥瞰が可能になっています。がん細胞や生体内の代謝産物を包括的に観測することによって、特異的あるいは病態特異的な脂質、糖、アミノ酸、核酸関連物質などの代謝産物群を体系的あるいは網羅的に解析できます。代謝産物情報に基づき、がんの早期診断や予後診断、および有効な治療薬・治療法の開発と確立に役立つマーカーの開発につながる次世代創薬に道を開く有意義なものだと考えられます。今度の研究助成をうけることは、自分の夢を一歩前に進めるチャンスだと思っています。今後も研究を一生懸命頑張っていきたいと思います。(「メタボローム解析を用いた非環式レチノイドの肝細胞癌選択的殺細胞作用の分子機構解明」秦 咸陽さん)
私は以前よりメタボローム解析に興味がありました。ただメタボローム解析は、お金もかかりますし、一学生である自分としてはなかなか提案できずにいました。今回、このような機会を与えていただき、大規模で、質の良いメタボローム解析を行うことが出来ました。このようなチャンスはなかなかありませんので、メタボロームに興味のある方は是非応募してください。(「赤色光と青色光による相乗的な気孔開口メカニズムの解明」蛭子 雄太)