ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(代表取締役社長:菅野隆二、本社:山形県鶴岡市、以下「HMT」)は、新規の肝臓疾患血液検査法の実用化開発について、慶應義塾大学先端生命科学研究所(以下「慶大先端研」)および東京女子医科大学(以下「女子医大」)と共同研究契約を締結しましたので、報告いたします。
B型およびC型肝炎ウイルス感染は、肝炎や肝硬変、肝がんの原因として社会問題となっており、我が国では350万人、全世界では5億人以上の感染者がいると言われ
ています。また、飲酒習慣やメタボロームシンドローム等の原因による脂肪肝も増加傾向にあります。これら肝臓疾患の検査法として、血液中の逸脱酵素(AST,
ALT等)や肝炎ウイルスの検出検査が行なわれていますが、症状が現れないことも多いため検査を行う患者は半数に留まっていると試算されています。B型およびC
型肝炎ウイルス感染者は、適切な処置を行わないと、肝硬変、肝がんに進行する確率が高いため、早期に発見し治療をする必要があり、簡便で精度の高い肝炎ウイルスの検出法が望まれています。
HMTの創業者であり慶大先端研の曽我朋義教授らは、メタボローム解析によって、ウイルス感染者を含めた肝臓疾患患者の血液中には、ガンマグルタミルペプチド
類(以下「GGP」)が高濃度で存在することを発見しました。GGPを指標とすることで、これまでの検査に比べて簡便で安価かつ高い診断性能で検査を行なえる可能性があります。この研究は、慶大研究グループにより国際肝臓学会誌「ジャーナル・オブ・ヘパトロジー」第55巻896ページ(2011年)に発表され、特許も出願されています。
HMTは、肝炎ウイルスの感染を原因とした肝硬変および肝臓がんを撲滅することを目指して、GGPによる肝臓疾患の血液検査キットの開発に取り組んでいます。本共
同研究では、慶大および女子医大と血液検査キットの開発を行います。女子医大消化器内科は肝臓疾患研究に多くの実績を有しており、相当数の肝臓疾患患者の血液検体を収集できる医療施設です。今回の共同研究により、女子医大にて患者血液検体を収集し、HMTが独自に開発する血液検査キットの診断性能の評価をします。今後は、上記肝臓疾患血液検査キットが健康診断の検査項目へ導入されることを目的として、開発を推進して参ります。