Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はヒスチジン(Histidine)について紹介をいたします。
ヒスチジン
- ヒスチジンは、正電荷をもつ塩基性のアミノ酸で、イミダゾール環を有します。
- ヒスチジンはキレート能を有し、小さなペプチドやタンパク質中のヒスチジン残基は様々な2価の金属イオンと錯体を形成します。
- ヒスチジンは、ヒトおよび他の哺乳類の必須アミノ酸です。
- ヒスチジンは、ヒスタミンおよびカルノシンの生合成の前駆体です。
- ヒスタミンは、腸の機能を調整するほか、脳や脊髄の神経伝達物質として作用します。また、ヒスタミンは好塩基球やマスト細胞から産生され、毛細血管の白血球に対する透過性を高めます。
- カルノシンは、β-アラニンとヒスチジンからなるジペプチドで、筋肉と脳に高濃度に存在します。カルノシンは、酸化ストレス時に脂肪酸の過酸化で形成される活性酸素やα,β-不飽和アルデヒドを除去します。また、脳内では神経伝達物質として働いています。
- ヒスチジンをはじめとするイミダゾール系化合物には抗酸化作用があります。L-ヒスチジンは炎症組織保護効果をもちますが、これは、急性炎症反応時に細胞から発生する活性酸素がイミダゾール環によって除去されることに起因すると考えられています。
- ヒスチジンは、細胞や組織の損傷に関与するサイトカインや成長因子を抑制することができます。ヒスチジンは、おそらく脂肪細胞のNF-κB経路を介して炎症性サイトカインの発現を抑制するようです。
- ヒスチジン異化の主要経路として、トランス-ウロカニン酸とアンモニアの生成から始まる経路が知られています。皮膚で生じるこの反応は、体循環における血中アンモニアの重要な供給源と考えられています。肝臓で生成されたウロカニン酸は、ホルムイミノグルタミン酸に加水分解され、さらにグルタミン酸に変換されます。
- 主なヒスチジン誘導体は、血漿中濃度や尿中排泄量が筋原線維タンパク質分解のマーカーとなる3-メチルヒスチジン、筋肉中のアンセリンから生成する1-メチルヒスチジン、シアノバクテリアやマイコバクテリアや真菌が生成するエルゴチオネインなどです。
おすすめ解析プラン
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