Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はオルニチン(Ornithine)について紹介をいたします。
オルニチン
- オルニチンはタンパク質を構成しない塩基性のアミノ酸で、尿素回路における重要な代謝物質の一つです。
- L-オルニチンは、アルギナーゼの酵素反応によってL-アルギニンから産生されます。この時、他の生成物として尿素が産生されます。
- 尿素回路の起点となるのは、アンモニアから合成されるカルバモイルリン酸です。カルバモイルリン酸はオルニチントランスカルバミラーゼの働きによってオルニチンと反応し、シトルリンが産生されます。生成物のシトルリンはさらに変換されていき、最終的にはアルギニンからオルニチンと尿素が産生されます。これらの過程によって、血中のアンモニア濃度が低下し、同時に尿素が増加します。尿素回路は、ヒト体内における窒素排泄の8割~9割ほどを担うと考えられています。
- 肝臓のミトコンドリア内膜にはオルニチントランスポーター(ORNT1、ORC1やSLC25A15とも)が発現しており、尿素回路に必要となるミトコンドリア内膜を介したシトルリン/オルニチン交換を担います。
- L-オルニチンとL-アスパラギン酸の混合物(LOLA)が血中アンモニア濃度を低下させるという報告があり、肝性脳症や肝硬変といった疾患との関係が研究されています。
- オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)は、ポリアミン生合成経路の起点となります。ODCの量は、多くの成長因子、癌遺伝子、腫瘍促進因子に反応して変化し、またポリアミンの量に応じて変化します。ODCは、ポリアミン生合成経路の第一段階であるプトレシンを生成する反応を担います。プトレシンは更に、他のポリアミンであるスペルミジン、スペルミンへと代謝されます。ポリアミンは細胞の成長において重要な因子となるほか、がんとの関連性なども研究されており、ODCは創薬の標的としても注目されています。
- オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)はオルニチンからプロリンが合成される際の最初の反応を担う酵素で、生体内のオルニチン量を適切に保つために重要な働きをしていると考えられています。OATの反応はピリドキサールリン酸(ビタミンB6)を必要とし、OATが欠損することで脳回転状網脈絡膜萎縮症を引き起こすことが知られています。
- 市場では、睡眠の質の向上や疲労回復などの効果を謳ったオルニチンサプリメントが売られています。
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