Metabolite of the Week|トリプトファン

Metabolite of the Weekでは、みなさまの研究にお役立ていただけますよう、代謝物質の機能や役割について紹介をいたします。
今回はトリプトファン(Tryptophan)について紹介をいたします。

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 2023年1月に新プラン「トリプトファン代謝パネル」を発売いたしました。
トリプトファン代謝に特化し、トリプトファン代謝に関わる23物質を
測定対象とした解析を行います。
トリプトファン代謝パネル 

トリプトファン

トリプトファン

  • トリプトファンは芳香族アミノ酸で、ヒトの必須アミノ酸でもあります。
  • トリプトファンの主要な代謝経路として、キヌレニン経路、セロトニン経路、インドール経路の3つがよく知られています。
  • ヒトでは摂取されたトリプトファンの大部分がNAD+などの合成に寄与するキヌレニン経路で代謝されます。キヌレニン経路の代謝物は免疫系や神経系に作用し、感染症や神経変性疾患、心血管疾患などの炎症を特徴とする多くの疾患との関連が報告されています。
  • キヌレニン経路においてはまず、トリプトファンがインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ (IDO)などの働きによってキヌレニンに代謝されます。IDO は炎症性サイトカインなどによって誘導される酵素であるため、免疫が活性化した際や炎症の応答時には血液中のキヌレニン/トリプトファン比(Kyn/Trp 比)が大きくなります。
  • キヌレニンは、NMDA型グルタミン酸受容体の阻害による神経保護作用が知られているキヌレン酸や、統合失調症のマーカーとしての可能性が知られているアントラニル酸などへ代謝されるほか、いくつかの反応を経てキノリン酸へと変換されます。キノリン酸はNMDA型グルタミン酸受容体を活性化させることから、キノリン酸/キヌレン酸比は神経興奮毒性の指標と考えられています。
  • キノリン酸はその後NAD+などへと代謝されます。NAD+やその関連代謝物であるNMNは抗老化などの観点から研究が進められているほか、それらの前駆体となるニコチン酸やナイアシンアミドはビタミンB3として知られており、こうした代謝物質はサプリメントとしても広く利用されています。
  • セロトニンは重要な神経伝達物質の一つであり、セロトニンの欠乏は、大うつ病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病など複数の病的状態との関連が知られています。
  • セロトニンの約95%は腸管内に局在し、約5%が脳内に存在します。セロトニン自体は血液脳関門を通過できず、脳内で合成する必要があります。一方、セロトニンの前駆体である5-ヒドロキシトリプトファンは血液脳関門を通過することができ、5-ヒドロキシトリプトファンの経口投与によって脳内のセロトニン量が増加することが知られています。
  • セロトニンはいくつかの反応を経て、睡眠覚醒サイクルと概日リズムの調節に関与しているホルモンであるメラトニンに変換されます。
  • インドール経路では、主に腸内細菌などの作用によってトリプトファンが代謝されます。こうして産生されるトリプトファン代謝物は腸管透過性、炎症の調節、および宿主免疫への関与などが知られています。
  • インドール-3-酢酸やトリプタミンなどのAhR(芳香族炭化水素受容体)リガンドは炎症性腸疾患や肝疾患との関連が報告されています。トリプタミンはAhRを介した抗炎症作用を有するのに加え、微量アミン関連受容体を介して、ドーパミン作動性、セロトニン作動性、およびグルタミン酸作動性神経伝達を調節します。
  • インドール-3-酢酸は植物ホルモンであるオーキシンの一種であり、トリプトファン代謝は植物の成長にも深く関与しています。

trp pathway

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おすすめ解析プラン

HMTでは測定したい物質や目的に合わせた解析プランをご用意しております。
今回ご紹介したトリプトファンを測定できるおすすめのプランはこちら

 2023年1月
新発売
トリプトファン代謝パネル
トリプトファン代謝に特化した解析プラン
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オメガスキャン ω Scan(オメガスキャン)
網羅性と高感度を兼ね備えた水溶性・イオン性代謝物質解析の最高峰プラン
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※試料中の存在量によっては検出できない場合もございます。

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